政策・経営研究39号最終
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国際貿易・投資ルールの将来15る既存の国内規制であり、たとえば、医療分野における規制レベルの相違等が挙げられる。こうした分野においては国際的な協力が必要となる。3.デジタル経済において貿易を最大化するための政策の選択肢デジタル経済の貿易を最大化するため、4分野に関して18の政策オプションを掲げる。①WTOルールの最大化とアップデート政策オプション1:WTO貿易円滑化合意がデジタル貿易を支持するものとする。たとえば、透明性の向上のための関連法令に関する情報公開や税関プロセスの迅速化等によって、デジタル貿易を促進するものとする。政策オプション2:電子商取引に対する関税不賦課のモラトリアムを恒久的な合意とする。政策オプション3:WTOにおける電子商取引作業プログラムをより拡大し、デジタル貿易を対象とする。政策オプション4:WTOの機関(たとえば貿易政策審査制度)または外部専門家が加盟国・地域のデジタル貿易に関連する措置やWTOにおける約束との整合性を毎年審査する。政策オプション5:WTOのITA拡大交渉を妥結する。政策オプション6:WTO通信サービスの参照文書をアップデートし、インターネットにおける競争促進的規律とする。政策オプション7:デジタル貿易に関してGATSの約束が適用されることを加盟国・地域に確認させる。②デジタル貿易合意(Digital Trade Agreement)の交渉政策オプション8:米欧FTA(TTIP)や新サービス貿易協定(TiSA)において、デジタル貿易ルールについて交渉する。また、WTOにおいて複数国間デジタル貿易合意を策定する。政策オプション9:サービスの市場アクセス約束の対象に越境データ移動を含める。政策オプション10:越境データ移動をGATS第14条に基づく例外の対象として認めたうえで、安全保障例外に限定して運用する。政策オプション11:データ・ローカライゼーションを要求しない約束をする。政策オプション12:知的財産ルールと紹介責任者保護についてバランスのとれたルールを採用する。③デジタル貿易分野での規制協力の拡大と深化政策オプション13:デジタル貿易によって影響を受ける分野の規制協力を発展させる。政策オプション14:デジタル決済サービスの規制を発展させる。政策オプション15:デジタル貿易の紛争処理機能を発展させる。④政府、産業界およびNGOのデジタル取引支援に向けた協調政策オプション16:デジタル取引のデータ収集と使用を発展させる。政策オプション17:デジタル取引に関する政府と民間の協力を発展させる。政策オプション18:途上国におけるデジタルインフラ整備のための資金援助を拡大する。4.結語現在の国際貿易投資ルールや規範は、デジタル貿易の拡大や、プライバシー保護といった、相反する複数の目的の間で舵取りを行ってはいるものの、開かれた場であるインターネットや国境を越えるデータの移動について適切な支援を提供できているわけではない。この提言書においては、政府、産業界、NGO等が、新たな規制協力や経験共有に取り組むための広範な選択肢を提示した。その目的は、インターネットとグローバルなデータ移動による機会が完全に実現されるための包括的な国際貿易ルール、規範およびフレームワークの策定である。E15の主催者であるICTSDと欧州のデジタル産業団体であるデジタル・ヨーロッパは、以上の提言に基づき、

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