政策・経営研究39号最終
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TPPの概要と日本経済への影響21Trade and Investment Partnership、環大西洋貿易・投資パートナーシップ)の交渉が行われている。TTIPは、経済規模の点ではTPPを上回っており、合意に至れば、世界最大規模のFTAということになる。WTOにおける世界全体での貿易自由化の進展が停滞する中、TPPをはじめとするメガFTA、特に米国やEUが参加するものは、それが世界経済に及ぼす影響を無視できないこともあり、世界の注目を集める形となっている。(1)TPPとはTPPは、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールの4ヵ国の間で2006年に発効したEPA(P4協定)を母体としている。これらの国は、アジア太平洋地域に位置しており、経済規模が小さく、貿易自由化に対して積極的な国であると言える。この枠組みに、2010年3月に米国、オーストラリア、ペルー、ベトナムが加わって、8ヵ国での交渉が開始された。その後、同年10月にマレーシアが交渉に加わり、2011年には日本、カナダ、メキシコが交渉参加の意向を表明し、2012年からカナダとメキシコ、2013年からは日本が交渉に参加した。そして、2015年10月に大筋合意に達し、2016年2月に署名が行われた。TPPは、関税の原則撤廃という高い水準での貿易自由化と、貿易・投資に関わるルールづくりが特徴であり、21世紀型の経済連携協定とよばれている。その特徴を踏まえると、TPPの目指すところは、関税の撤廃等を通じて、域内におけるモノ、人、資本、情報の国境を越える動きを可能な限り円滑にして、域内の競争条件をできるだけ平等なものとすることにあると言える。そして、競争を通じて、生産性を引き上げ、経済成長へとつなげようとしていると考えることができる。なお、現在、TPP参加国では、発効に向けて、国内手続きが行われている。TPPの発効に向けて、すべての参加国の手続きが署名の日から2年以内に終わらない場合、TPP参加国のGDPの合計において、85%を占める、少なくとも6ヵ国以上の国で国内手続きが終了すれば、その60日後に発効することになっている。このことは、TPP参加各国のGDPの規模を考慮すると、実質的には、発効に向けて日本と米国の国内手続きが終了することが不可欠であることを意味している。(2)TPP参加国の概要TPPに参加している12ヵ国の経済規模についてみると、米国、日本で合わせてTPP参加国全体の約4分の3を占めており、両国の存在感が目立つ(図表4)。経済発展段階を表す指標のひとつと考えることができる1人あ2TPPの特徴図表4 TPP参加国の人口と経済規模等人口GDP一人当たりGDP日本の貿易総額に占めるシェア備考(日本との経済連携協定)単位万人億ドルTPPでのシェア(%)ドル%米国31,913173,48162.054,36015.1日本12,71245,96216.436,156-カナダ3,55017,8386.450,2521.3オーストラリア2,36114,4205.261,0633.7日・オーストラリアEPA発効済ニュージーランド4561,9790.743,4570.4チリ1,7822,5870.914,5170.6日・チリEPA発効済メキシコ12,53912,9794.610,3511.2日・メキシコEPA発効済ペルー3,1422,0290.76,4570.2日・ペルーEPA発効済ブルネイ411710.141,5250.2日・ブルネイEPA、日・ASEAN EPA発効済マレーシア3,0603,3811.211,0502.6日・マレーシアEPA、日・ASEAN EPA発効済シンガポール5473,0641.156,0102.2日・シンガポールEPA、日・ASEAN EPA発効済ベトナム9,0731,8590.72,0492.2日・ベトナムEPA、日・ASEAN EPA発効済計81,175279,748100.0-29.7注:2014年時点、日本の貿易総額に占めるシェアは2015年のもの。出所:IMF “World Economic Outlook Database”(2016年4月)、財務省「貿易統計」より作成

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