政策・経営研究39号最終
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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定30季刊 政策・経営研究 2016  vol.3と、海外企業からの調達割合は案件ベースで2.9%、一般競争入札における海外企業の落札率は1.8%となっている。日本のTPPにおける市場開放は基本的にはGPAと同様に、対象となるのは国、都道府県、政令指定都市、関係機関である。地方公共団体では、政令指定都市以外の市町村は対象外となっており、政府調達分野についてはTPPによる影響はほとんどないと考えられる。FTAは締結すればよいというわけではなく、実際に企業に利用されてこそ、期待された効果が生じる。日本貿易振興機構「2014年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、日本がEPAを締結している国・地域と貿易を行っている企業のうち、当該EPAを利用している企業の割合は4割程度となっている。企業規模別にみると大企業は54.7%であるのに対して、中小企業は33.2%であり、利用率は中小企業で低い。日本企業が輸出する場合に、FTAを利用しない理由としては、大企業、中小企業とも「輸出量または輸出金額が小さい」といった回答企業が多くなっている(図表10)。中小企業が大企業と比較して、FTAを利用しない理由として多く挙げているのが「FTA/EPAの制度や手続きを知らない」、「制度について調べる時間がない」等である。こうしたアンケート結果は、中小企業はFTAを活用できる場合においても十分に活用できていない可能性があることを示唆している。TPPでは「中小企業」という章が設けられているように、中小企業も含め、できるだけ多くの企業によって活用されることになれば、効果はより大きくなる。グローバル化が進展する中、日本では大企業だけでなく、中小企業も海外に進出するようになってきている。日本貿易振興機構の調査によると、中小企業が海外に進出する際に課題になっていることとして、「現地でのビジネスパートナー(提携相手)」、「海外の制度情報(関税率、規制・許認可等)」、「海外ビジネスを担う人材」、「現地市場に関する情報(消費者の嗜好やニーズ等)」が挙げられている。TPPの大筋合意を受けて、政府がとりまとめた「総合的なTPP関連政策大綱」は、TPPの効果を日本の経済再生、地方創生に直結させるために必要な政策や、TPPの図表10 FTAを利用しない理由出所:日本貿易振興機構「2014年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(2015年3月)より作成5今後の課題

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