政策・経営研究39号最終
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なぜTPPが必要なのか53とを想定していたことになる。ざっくりしたイメージで言うならば、10%成長していた経済を10年後には5%成長程度にまで徐々に低下させるというイメージを描いていたことになる。中国経済は減速を続けたが、それでも他の国に比べれば高い成長を続けてきた。この結果、中国経済の存在感がリーマンショック後も急速に増していたことは、すでに図表3で見た通りである。2010年に中国は日本を抜いて世界第2位の経済大国になったわけだが、5年後の2015年には日本の2~3倍の規模になっており、数年のうちに米国や欧州の経済規模に近づいてくるだろう。ドル換算して比較しているので、為替の変動が影響していることは考慮しないといけないが、中国の存在感は大きい。中国の毎年のGDPの増加額はインドネシア一国のGDPに匹敵する。リーマンショックを境に中国は小康社会を目指して徐々に成長率が低下する国になったが、経済大国としての存在感が増し、世界経済は中国経済の動向に大いに影響されるようになってきた。今、減速する中国の代わりを務められる国はいない。それだけに中国経済の減速の影響が世界経済の先行きにとって問題となってくる。(5)スーパーサイクルが終わった商品市況リーマンショックを境にした世界経済の構造変化は商品市況の動きによく現れている。商品市況は経済活動の加速・減速を反映しながら変動する。経済活動が活発になれば、さまざまな資源に対する需要が拡大し、商品市況は上昇する。逆に、経済活動が減速してくれば、商品市況は低下する。鉱山開発、作付面積の拡大といった供給側の対応は時間を要するので、商品市況はまず需要動向を反映して変動することになる。もちろん、かつてのオイルショックのように、生産国側が協調して供給を絞り込めば、商品市況は大きく変動するが、最近はそうした動きはあまりない。代表的な国際商品市況の指数であるロイター・コアコモディティーCRB指数の推移を見ると、2002年ごろから長期的な上昇トレンドが続いていた(図表9)。これは通常の商品市況の変動とは違うという見方から「スーパーサイクル」と呼ばれるようになった。なぜ商品市況は長期的な上昇トレンドに入ったのか。1990年代に商品市況が低迷した時に資源開発が低調になり、供給力が乏図表9 スーパーサイクルが終わった商品市況~ロイター・コアコモディティーCRB指数~出所:Thomson Reuters

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