政策・経営研究39号最終
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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定54季刊 政策・経営研究 2016  vol.3しくなったところに、中国、ブラジル、ロシア等新興国の経済成長率が高まって資源需要が急増した。資源需要の増加はさらに続くとの思惑も加わって、商品市況が上昇基調を続けることになった。商品市況の上昇トレンドはリーマンショックで転換点を迎える。リーマンショック後に暴落した商品市況は、中国が4兆元の経済対策を打ち出したことによって再び上昇する。しかし、前述の通り4兆元の対策の効果は一時的であり、中国経済は長期的な減速トレンドに入っていく。中国経済の減速に合わせて商品市況も低下トレンドが続いている。こうして2002年から始まった商品市況のスーパーサイクルは終わりを告げた。商品市況のグラフ(図表9)と中国の経済成長率のグラフ(図表8)を比べてみると相似形のような推移をしている。新興国、中でも中国経済の動向が商品市況に大いに影響したことがうかがえる。世界経済の潜在的な成長力の低下、それと軌を一にした商品市況の低下は、世界的にインフレ圧力を抑えることになり、緩和的な金融政策と相まって、世界的な低金利状態をもたらしている。リーマンショックを転換点にして世界経済は大きく変貌してきた。日本経済は、リーマンショックの当事国ではなく、欧州に比べれば金融市場を通した影響は限定的だったかもしれない。しかし、世界経済の減速は、輸出の拡大に依存した成長を続けてきた日本経済に影響を与えないわけにはいかない。リーマンショック前までの日本経済は、輸出の拡大に支えられて2%程度の成長を続け、いざなぎ超えとも呼ばれた戦後最長の景気回復を実現した。一方、リーマンショック直後は世界経済がゼロ成長を記録する中、日本経済は大幅なマイナス成長を余儀なくされた。こうした短期的なショックに加え、リーマンショック後の日本経済の成長パターンは、それまでとは異なるものに変容してきているようだ。(1)輸出の景気けん引力が弱い輸出はリーマンショックによって大きく減少した後、2009年初を底に急速に回復した。しかし、リーマンショック前の水準に戻ったころから、あまり増加していない(図表10)。一時的に増加することもあるが、リーマ図表10 輸出:リーマンショック後の落ち込みから急反発した後は横ばい出所:内閣府「四半期別GDP速報」2リーマンショック後の日本経済

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