政策・経営研究39号最終
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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定60季刊 政策・経営研究 2016  vol.3剰な状態にあるというのはすでに見た通りである。もし必要ならば設備投資をすればいいだけの話だ。それとは別に、少子高齢化が続く中で、労働力の制約、つまり人手不足がより大きな問題になってきているのではないか。先日、近所のレストランでお昼を食べることにした。ランチといっても午後2時過ぎなのでそんなに込んでいないはずなのだが、レストランの前には人が並んで待っている。出てくるお客さんはいるのだが、いっこうに案内してもらえない。窓から中をのぞいてみると、半分は空席であり、食器が片付けられていないテーブルもある。何が問題かというと働いている人が足りない。満席になれば40人は入れるレストランでウェイトレスはひとりだけだ。注文を取って、食事を運んで、会計して、食器を片づけて、さらにお客さんからの追加の注文を取る。こうしたことをひとりでやっていては回らない。交替でお昼休みを取る時間帯だったらしく途中から2人になったが、どうも2人とも慣れていないようで、うまく仕事が回らない。人材を十分に確保できないこと、つまり人的資源の供給制約が、経済活動のボトルネックになっているように思えた。これはある店での出来事にすぎないが、日本経済全体でも同じような状況が広がっているのではないか。失業率が低下し、有効求人倍率が上昇しており、雇用環境は改善していると言われているが、こうした指標の動きも人手不足の現れとすれば手放しでは喜んでいられない。有効求人倍率は、景気に敏感な指標として景気動向指数の一致指数の系列として採用されている。しかし、最近はどうも景気動向をうまく反映していないようだ。図表19は、景気動向指数の一致系列(CI)と有効求人倍率の推移を見たものである。かつては、有効求人倍率が上昇するときは、景気も回復して景気動向指数が上昇し、有効求人倍率が低下している時は、景気が後退して景気動向指数も低下していた。しかし、最近は有効求人倍率が上昇を続ける一方で、景気動向指数は2014年になって低下気味である。有効求人倍率の上昇が景気の回復を意味するとは言い難い状況となっている。(5)物価の上昇に対して脆弱デフレにも助けられて、リーマンショック後の個人消費は実質ベースで見ると結構しっかり推移していたが、消費税率引き上げ前の駆け込みと反動で大きく上下した。その後は横ばい圏での推移が続いており、停滞気味図表19 有効求人倍率が上昇しても、景気動向指数は下向き注:シャドー部分は景気後退期出所:内閣府『景気動向指数』、厚生労働省『一般職業紹介状況』

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