政策・経営研究39号最終
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シンクタンク・レポート76季刊 政策・経営研究 2016  vol.3ていたのは、星崎地域に住む女性Aさんで、現在は南医療生協の副理事長を務めている。この食事会に集まる高齢者に認知症が目立つようになったことから、認知症対応型のグループホームの設立を考えるようになったという。さらに星崎ブロックでは、2003年4月にヘルパーステーションほしざきがオープン。ブロック内の話し合いの中でも、グループホームの建設を要望する声が出始め、各地のグループホームをブロックメンバーで見学した。この結果、民家改造型のグループホームの設立をめざし、7月には設立準備委員会をブロック内に立ち上げた。設立準備委員会のメンバーは、自転車で地域を回る「チャリンコ隊」を結成。何度も地域を回り、候補地を1軒ずつ訪ねながら、近所の住民との対話を重ねていった。結果、築60年の大きな農家の家屋を格安で借り受けることとなった。準備委員会メンバーは、さらに家屋の改修費用を自ら集めて回った。その総額は1千万円である。当時、ブロック全体で年間200万円程度の増資を集めていた星崎ブロックにおいて、数ヵ月で1千万円の出資を確保するのは容易なことではなかったという。しかし、設立に向けた着工式への近隣住民の招待、頻繁な見学会の開催、周辺散策を含む星崎の歴史を知るツアーの開催等多様なしかけでグループホームなもの設立趣旨や地域における意義を説明する機会を創出していった。何より候補地の選定段階から繰り返し地域を回り、1軒1軒の家庭に対面しながら、設立への思いを丁寧に説明しながら出資や増資を呼びかけたことによって、改修に必要な額を調達するに至った。ii)例2:生協のんびり村(東海ブロック)①概要生協のんびり村(以下のんびり村)は、グループホームほんわか、多世代共生住宅あいあい長屋、小規模多機能ホームおさぼり、地域交流館おひまち、喫茶ちゃらといった小規模な福祉施設が集まった複合的な福祉エリアで、東海市加木屋町に位置する。東海ブロックは、名古屋市に隣接する東海市の9支部からなり、組合員数は8,226人である(2012年度時点)。のんびり村は、「1ブロック1介護福祉事業づくり運動(通称:いちぶいっかい運動)」とその後の2005年4月からの東海ブロック百人会議での議論をベースとして立ち上げられた。のんびり村の800坪を超す広大な土地は、組合員だった農家の女性からの貸借である。当時東海市内には南医療生協が運営する富木島診療所、訪問看護ステーションいずみ、ヘルパーステーションいずみ等があり、この女性の夫が認知症を患い寝たきり生活が続いた際、往診や介護サービス等を通じ南医療生協のサービスを受けていたことから、土地活用についての意思表明があり、固定資産税を賄う程度の安価で貸借された経緯を持つ。2006年1月には加木屋介護福祉計画推進委員会が発足。毎月1回のペースで検討を重ねた。その結果、地域に必要な福祉・介護の複合施設を建設することを明確に定めた。②開村に向けた取り組みさらに加木屋介護福祉計画推進委員会と南医療生協の理事会が話し合いを重ね、開村に向けて次の目標を定めた。ひとつは、東海ブロックの組合員を2年間で5,900人から7,000人へ、支部数を5から10へと増加させること、もうひとつは建設費の一部として6,000万円の出資を集めることであった。10支部7,000人という目標から107プランと名付けられたこの運動は、当時の東海ブロックにとって相当に高いハードルであった。東海ブロックでは、ブロック内の運営委員等が参加する合宿での議論を経て、2006年7月には、夕方6時から7時半にかけて各家庭を訪問する「夕焼け訪問」を開始。のんびり村構想について説明し、協力を呼びかけた。通常、南医療生協では支部ごとにおかれた運営委員が自分の居住地の近くの家庭を訪問する形式を採るが、夕焼け訪問の際にはひとつの支部の訪問行動にその他の支部の組合員が協力し、支部を超え皆で訪問する形式を採った。各支部の担当者が訪問ルートを準備し、協力支部に

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