政策・経営研究39号最終
78/99

地域福祉の担い手の形成条件に関する一考察77説明を行ったうえで各家庭を訪問する手順となったことで、自らの居住地の状況をより客観的に理解する最良の機会となったという。訪問行動後は振り返りを行い、成果はもちろん失敗や難しさも含めて地域からの反応を共有した。これにより各自がより主体的に地域での呼びかけを行う意欲が喚起されていった。夕焼け訪問は、建設予定の各施設の地域内の利用ニーズを把握したり、ボランティアや働き手を探す機会にもなった。何より地域を回ることで、のんびり村に対する思いを地域住民に語る機会を得ることができたという。支部ごとのイベントも多く実施された。中でも2007年7月にのんびり村の予定地で開催された夏祭りでは、その日までの増資の呼びかけが功を奏し、1日で1,017万円を集めるに至った。こうして地域に対してのんびり村構想の意図やそこに込めた思いを丁寧に語っていくことで、協力者が増え、それに応じて出資が集まっていった。この結果、2007年度中には増資目標の6,000万円を達成。組合員数も1,100人増の7,000人となった。これを受けて2008年11月にはグループホームほんわかが開設、翌年4月には小規模多機能ホーム、多世代共生住宅、喫茶、集会施設が同時に開設を迎えた。建設途中では内装ワックスがけやウッドデッキづくり、庭造り等に組合員が関わった。現在も建物の日常的な維持管理や各施設の運営に組合員がボランティアで積極的に関わっている。3)地域支え合い活動の展開このように、支部ごと、ブロックごとの議論と実践から生まれた施設建設が活発になる一方、南医療生協全体での取り組みとして、地域内での医療サービスと福祉サービスをつなぐための支え合い活動が進展していった。具体例としては、南医療生協機関紙『健康の友』の配布と「おたがいさまシート」を活用した見守り活動が挙げられる。i)「健康の友」の配布機関紙『健康の友』は、組合員が自発的に発行しているもので、月1回の定期発行を基本としつつ、総代会や大きなイベントやニュースがある際には特別号が発行されている。2015年時点で2,769名の組合員の協力によ図3 機関紙“健康の友”配布者数と配布率出典:南医療生活協同組合総代会資料をもとに筆者作成

元のページ 

page 78

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です