政策・経営研究39号最終
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地域福祉の担い手の形成条件に関する一考察83提供する主体から、生活の質の向上や地域での暮らしを支える環境づくりを行う主体へと組織を変貌させていった。そしてこの過程には、「南医療生協」という組織の構成員のコミットメントが深く関係している。そしてここでいう組織の構成員とは、医師や看護師、介護職等の専門職や事務スタッフといった、病院等で雇用されているスタッフだけではなく、地域の現場で、暮らしに立脚した小さな取り組みを行う多様な組合員が含まれている。そしてこれらの担い手は、「協議の場への参加」、「イニシアチブの移譲と意思決定層への登用」、「身近な社会課題への気づきと、解決に向けたアクションの積み重ね」によって、次第にその主体性を発揮し、自らこそが、暮らしに困難を抱える身近な人々の課題解決の担い手であるという認識を形成していった。この「協議の場への参加」、「イニシアチブの移譲と意思決定層への登用」、「身近な社会課題への気づきを得る機会の創出と、解決に向けた具体的なアクションの積み重ね」こそが、民によって担われ、形作られていく地域福祉の担い手の形成条件であると考えられる。そしてこの3点を地域福祉の実践の場で意識的に創出していくことが、主体性を持ち地域社会に存在する福祉的課題の解決に取り組もうと考える担い手を形成していくうえで、重要だと考えられる。【注】1日本医療福祉生活協同組合連合会ウェブサイトから(http://www.hew.coop/about/gaiyou)2016/05/232国立社会保障・人口問題研究所 日本社会保障資料Ⅳ(1980-200)4.薬価・診療報酬http://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/kaidai/04.html32013.9.12 南医療生活協同組合 理事へのヒアリングから4名古屋市人口動態調査から http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/67-5-5-7-0-0-0-0-0-0.html5名古屋市南区人口動態調査から http://www.city.nagoya.jp/minami/page/0000030791.html6南医療生活協同組合 地域支え合いセンターに対するヒアリングから【参考文献】・大野京子(2009)「組合員参加による介護・福祉事業づくり-南医療生協の実践-」、『生活協同組合研究』、398:41-47・大野京子(2011)「南医療生協の『ささえあい たすけあい 地域だんらんまちづくり』」、『住民と自治』、578:26-28・成瀬幸雄(2012)「医療・介護・福祉・安心のまちづくり-つながりあい・ささえあい・たすけあう“地域だんらん”まちづくり」、『協同組合経営研究誌』、638:62-70・西村一郎(2009)「地域だんらんの場づくり-南医療生協『生協のんびり村』-」、『生活協同組合研究』、402:60-67・西村一郎(2011)「協同っていいかも?-南医療生協いのちかがやくまちづくり50年」、合同出版

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