政策・経営研究39号最終
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シンクタンク・レポート96季刊 政策・経営研究 2016  vol.3求した仕組みが通常である。一般的な会社形態で運営される通常のノンバンク会社に比較しても、金融の効率性が徹底的に追求されている。このように合目的性を追求した仕組みは、想定外のリスクに対して脆弱な可能性があることは今までの議論で明らかであろう。通常の会社は仕組みの塊ではあるが証券化の仕組みほど合目的的ではなく、どこかに遊びの部分があり、これが想定外のリスクが発生した場合の緩衝材になる可能性があるが、証券化にはこの遊びの部分が少ない。したがって想定外のリスクに対する緩衝材を附加させるべく、適度な公的規制が証券化に対して課されることは社会的に有益であると考える。ただしいかなる規制も割り切りの産物であり、規制を作ればこの規制を超えたところに想定外のリスクがあることは忘れてはならない。以上において証券化商品という金融商品を一歩前から見て、金融商品と社会の関係を見たつもりである。証券化のような仕組み金融商品は割り切りによって成り立っていることがよく見えるが、実は金融全体、さらには社会全体にも割り切りは不可欠であり、これによって内在される想定外(もしくは、想定したくない)リスクがあると考えたい。たとえばある取引のリスク検討をどこまで行うかについては先天的な決まりはなく、その時々の時間と場所における人々の認識に左右され、かつこの認識には幅がある。取引関係者はこの認識の幅のなかで、おそらく取引の設計上最も合理的・効率的と思われるところで取引内容を構築することになろう。一方この取引に問題等が発生した場合の判定者は、多くの場合そのときの時間と場所における認識の幅のなかでもっとも適当と思われる判断を取り上げるであろう。このとき前者と後者が一致する確証はない。われわれは固定化できない流動的な状況のなかで商品・取引を固定化しようと努力していることを認識すべきであろう。【注】1国土交通省のサイト http://tochi.mlit.go.jp/chiiki/securitization/doc1-1.html2植木豊 編訳 「プラグラティズム古典集成」作品社刊 193ページ32006年4月のIMF“Global Financial Stability Report”Chapter IIの冒頭部分4たとえば、フランスの大手電力ガス会社である、GDF Suez(現 Engie)はその2014年2月27日のプレスリリースで、同社の2014年の財務目標のなかで“Net debt/Ebitda ratio below or equal to 2.5x and“A”credit rating maintained”と述べている。5リース事業協会発行、月刊リース2011年2月号の「ファイナンス・リースの典型契約化に対する見解」同事業協会法務委員会作成による62007年企業会計基準第13号72007年企業会計基準適用指針16号より適宜抜粋8民法(債権法)改正検討委員会2008年9月23日の「ファイナンス・リース」の改正試案[第4準備会報告]の9頁から引用9最高裁判例。平成7年4月14日8終わりに

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