政策・経営研究43号最終
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日本経済の中期展望8季刊 政策・経営研究 2017  vol.3中国であるが、今後は成長ペースの鈍化が見込まれる。かつての2ケタ成長から、すでに足もとでも成長率は6%台に低下しており、中期的にはさらに伸びが低くなる可能性がある。その要因のひとつとして、わが国と同じく、急速に高齢化が進展することがある。人口全体に占める各国の生産年齢人口の比率をみると、図に示す通り、日本はすでに1995年から低下トレンドにあるが、中国も2010年にピークを迎えており、今後は急速に比率が低下していくとみられる。このため、中国においても、2020年代には高齢化にともなう労働供給の制約等を通じて、活力が低下する懸念がある。同様に、米国においても緩やかながら生産年齢人口比率の低下が予想され、成長減速の要因となり得ることを認識しておく必要がある。人口の高齢化は主要国に共通する課題といってもよく、こうしたことから、世界経済全体の成長率は2010年代の前半は3.5%、後半は3.4%であったものから、2020年代の前半には3.3%に、さらに後半には3.1%へと、徐々にペースダウンするものと見込まれる。これにともない、わが国の実質成長率における外需の寄与度も、2010年代後半の0.3%から2020年代には0.1%に低下するであろう。なお、近時、米トランプ政権は保護主義的な通商政策を打ち出しており、わが国のみならず、世界経済全体にとって非常に気がかりなところである。かりに保護主義的な政策が実行され定着する場合は、2020年代の世界の経済成長の重石になることは避けられないであろう。政治的な事情から保護主義に走るのではなく、経済合理性に基づいて、貿易のメリットが正しく評価されることを望むとともに、わが国としては、世界の中でリーダーシップを発揮して、自由貿易の枠組みを堅持する努力を続けていく必要があるといえよう。②「投資立国」&「サービス貿易立国」の側面世界経済の減速により、わが国実質成長率の外需寄与度は低下するが、今後の経常収支はどのようになるであろうか。図表11に示す通り、貿易収支はおおむねゼロ近傍で変動し、黒字となる場合でも小幅にとどまる。経常収支は20兆円前後のレベルの黒字基調を維持するが、そのほとんどは第一次所得収支の黒字、すなわち投資による収益であり、同収支の黒字は2020年代を通じて拡大基調を続けるであろう。第一次所得収支は足もと、6割が証券投資収益、4割が直接投資収益であるが、近年、わが国企業による海外での直接投資が活発であることから、直接投資収益の拡大が続いており、第一次所得収支に占める同収益のウエイ図表10 世界経済の実質成長率の見通し注:予測は当社調査部出所:IMF「World Economic Outlook」

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