政策・経営研究43号最終
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日本経済の中期展望10季刊 政策・経営研究 2017  vol.3いが、サービス収支も2020年代前半には黒字に転じ、その後は緩やかに拡大して経常収支の黒字に寄与する。サービス収支改善の主役は旅行収支黒字の拡大であり、その柱となるのが訪日外国人によるインバウド消費である。インバウンド消費は2016年度の推計3.8兆円から順調に増加して、2030年度には6兆円まで増加する見通しであり、国内景気の下支え要因として期待される。もちろん、この見通しが達成されるためには、わが国観光資源の魅力を海外にアピールすることや、空港・ホテルの整備、外国語での表記等、受け入れ環境を充実させることが必要である。こうした“観光の輸出”の拡大や、さらには海外からの知的財産権使用料等の受け取り拡大等も含めた、「サービス貿易立国」というべき側面が、今後はより強まることになるであろう。(3)拡大する社会保障支出と財政健全化に向けた取り組み①財政の改善は進まず ~消費税引き上げだけでは、効果は限定的対処すべき課題の3点目は、財政悪化への対応である。現状、すでにわが国の財政は主要先進国の中で最悪の状況にある。図表14の通り、政府債務残高は名目GDPの2倍超と、主要国のなかでも突出して高い。フローでみても、国と地方の基礎的財政収支は名目GDPの3%以上の大幅な赤字となっている。問題は、足もとも相当厳しい状況であるうえに、さらに今後、高齢化の進展で社会保障支出が持続的に増加する、ということであり、それを踏まえた抜本的な対応、すなわち歳出の抑制と歳入の拡大に取り組むことが、喫緊の課題といえる。政府は、2020年度に基礎的財政収支を黒字化することを目標としているが、すでに消費税率の引き上げを二図表13 訪日外国人数とインバウンド消費額の見通し図表14 債務残高の国際比較(対GDP比)注:予測は当社調査部出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」等注:本数値は「政府借入等も含めた債務」であるが、後述の当社予測は「国及び地方の長期債務残高」であるため、これとは異なる出所:財務省「我が国の財政事情」、原出典はIMF

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