政策・経営研究43号最終
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日本経済の中期展望14季刊 政策・経営研究 2017  vol.3足元では景気回復を背景に財政赤字は縮小しているものの、赤字が続いていることには変わりはなく、高水準にある政府の債務残高は増加が続いている。こうした中、消費税率の10%への引き上げが2度にわたって延期される等、財政健全化に向けた道筋は必ずしも明確ではない。本稿では、まず日本の財政の現状を概観し、次に日本の財政の構造的な特徴について述べる。そして、今後も進展が見込まれる高齢化が財政に及ぼす影響について検討し、最後に財政健全化に向けた課題について述べる。(1)基礎的財政収支の動向基礎的財政収支とは、公債金収入を除いた歳入から、公債の償還費と利払い費を除く歳出を差し引いたものであり、政策を実施するための財源を借金に頼ることなく、調達できているかを示すものである。政府は、国と地方の基礎的財政収支を2020年度までに黒字化させることを目標としている。国と地方の基礎的財政収支は、2012年度以降、景気回復が続いたことに加え、2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられたことから改善が続いた(図表1)。この結果、2015年度の国と地方の基礎的財政収支のGDP比は-2.9%(東日本大震災からの復旧・復興のための費用を含む)となり、2010年度から3.4%ポイント改善し、2010年度と比較して赤字のGDP比を半減させるという政府の目標を達成できた。基礎的財政収支の2012年度以降の改善要因を歳出、歳入に分けてみると、企業利益の増加を背景とする法人税収の増加や消費税率引き上げを反映して、歳入面での改善の影響が大きいと言える(図表2)。2015年度には、歳出のGDP比が大きく低下しているが、これは、歳出の金額は増加しているものの、名目GDPの成長率が歳出の伸びを上回ったためである。もっとも、2016年度は税収が伸び悩んだうえに、赤字国債を発行して経済対策を実施したことから、基礎的財政収支のGDP比は悪化が見込まれている。今後、基礎的財政収支がこれまでのようなペースで改善が続くかは不透明と言える。(2)債務残高の動向財政の持続可能性という観点からは、債務残高のGDP図表1 国と地方の基礎的財政収支注:他の部門との一時的な受払などを除く。出所:内閣府「国民経済計算」をもとに筆者作成1日本の財政の現状はじめに

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