政策・経営研究43号最終
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日本経済の中期展望16季刊 政策・経営研究 2017  vol.3る。(3)債務残高の国際比較財政健全化は先進国にとって共通の課題であり、近年は、多くの国で財政収支のGDP比は改善しているものの、赤字が続いているため、債務残高は増加傾向にある。OECD加盟国について一般政府の債務残高のGDP比を比較すると、日本は、OECD加盟国の中で約220%と最も高い水準にある(図表4)。一般政府が保有する金融資産を控除したネット(債務-資産)ベースでは、日本は巨額の金融資産を保有していることから123%と、ギリシャ、イタリアに次いで3番目となる。このように、ネットベースでみると順位は変動するものの、日本はOECD加盟国の中で債務残高のGDP比が高いグループに属しており、財政は厳しい状況にある。世界の経済成長率を引き上げるためには、世界各国において金融政策だけでなく、財政政策も活用すべきであるという考え方があるが、このような財政状況を考慮すると、日本はOECD加盟国の中では拡張的な財政政策を発動する余地があまりないと言えるだろう。財政収支は、景気がよいときには改善する等、景気の影響を受けるものの、基本的な動向は歳出、歳入面における構造的な特徴による影響が大きい。ここでは、日本の財政に関する構造的な特徴について述べる。(1)高齢化の進展と社会保障関係費の拡大日本では高齢化の急速な進展とともに、社会保障給付費が拡大しており、2014年度には112.1兆円となっている。社会保障給付費の財源は保険加入者から徴収する保険料収入が中心であり、給付の増加にともなって保険料率は引き上げられている。しかしながら、保険料収入だけではすべての給付の費用をカバーできないこともあって、公費負担(国庫負担および他の公費)が行われており、その規模は給付動向を反映して拡大が続いている。公費負担が社会保障の財源全体に占める割合は、1990年代後半以降、年度によって変動があるものの、上昇傾向にあり、2014年度は32.8%となっている(図表5)。こうした社会保障給付のための公費負担の増加は、政府や地方公共団体の歳出の増加の主な要因となっている。国の一般会計の基礎的財政収支対象経費を主な経費別にみると、社会保障関係費は、2009年度に基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げたこともあって、大幅に増加し、その後も緩やかな増加傾向で推移している(図表6)。公共事業関係費は、1990年代には景気対図表4 一般政府ベースの債務残高の国際比較出所:OECD “Economic Outlook No101”(2017年6月)をもとに筆者作成2日本の財政の構造的な特徴

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