政策・経営研究43号最終
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日本の財政の現状と中長期的な課題23近年は、高齢者や女性の労働参加率の上昇が労働供給の増加に寄与しているものの、労働参加率の上昇には限界があるうえ、国立社会保障・人口問題研究所の2017年の推計によると、2030年時点の20~64歳人口は、2015年時点と比べると1割減少する。潜在成長率2は、労働投入量、資本投入量、全要素生産性(TFP)によって決まることから、近年、議論されている「働き方改革」が進展することにより、今後、TFPの伸びが高まり、潜在成長率の押し上げに寄与することが期待される。それでも、今後、20~64歳人口の減少のインパクトは大きいだけに今後、潜在成長率の低下は避けられないだろう。潜在成長率が低下すれば、税収は期待したようには増加しないことになる。②税収構造の変化日本の税収構造は、すでに述べたように、個人所得税では累進構造の緩和が進められてきており、経済成長率が高く、税収の増加が著しかった1980年代と比較すると、個人所得が増加しても個人所得税収はそれほど伸びないようになってきている。また、消費税率の10%への引き上げが2019年10月に予定されており、今後は、税収全体における間接税のシェアが高まっていくことが予想される。一般に、間接税収のGDP比は安定して推移する一方、直接税収は景気変動の影響を受けやすく、景気拡張期にはGDP比は上昇し、景気後退期にはGDP比が低下する傾向がある。したがって、税収全体における間接税のシェアが高くなるということは、税収のGDP比は安定的となる一方で、景気拡張期にGDPが増加しても、税収の伸びはかつてほどには増加しないことになる。(3)金融政策国と地方の利払い費(SNAベース)は、2000年代前半に急速に減少し、債務残高が急速に増加した2009年度以降も横ばい傾向で推移している(図表15)。これは、金利が低い水準で推移しているためであり、2013年度以降は量的・質的金融緩和政策により、従来と比較すると緩和的な金融政策が採られている。こうした状況の下、政府による国債の借り換えが行われたことも利払い費を抑制する要因になったと考えられる。もっとも、金利が今後も現在の低い水準で推移するとは限らず、現在の金融緩和政策が「出口」へと向かう時点で、金利が上昇する可能性がある。金利が上昇しても、利払い費が直ちに大幅に増加するわけではないが、低金利の下で発行した公債が償還を迎える際には、これまでのような低金利での借換債の発行はできなくなり、利払い図表15 国と地方の利払い費と金利出所:内閣府「国民経済計算」、財務省資料、日経NEEDS-Financial QUESTをもとに筆者作成

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