政策・経営研究43号最終
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日本経済の中期展望28季刊 政策・経営研究 2017  vol.3舗は伸び率はそれほどでもない。したがって、近年の時価総額や取引額の伸びは、利用可能店舗の増加によるものではないことがうかがえる。(2)仮想通貨・電子マネー・MUFGコインの違い2017年5月1日、三菱東京UFJ銀行は、独自の仮想通貨「MUFGコイン」の実証実験を開始し、注目を集めている。MUFGコインは始めたばかりであり、最初は三菱東京UFJ行員による利用に限られ、かつ利用できる店舗は極めて少ない。MUFGコインは、ビットコインのような仮想通貨とは異なることには注意せねばならない。MUFGコインとビットコインは、個人間での仮想通貨のやりとりや利用可能な店舗での支払いができる点では同じである。しかし、ビットコインの場合、発行者・運営者がいないのに対し、MUFGコインの場合、三菱東京UFJ銀行が発行者・運営者となる。またドル・円等法定通貨との交換比率は、ビットコインの場合変動するのに対し、MUFGコインの場合“1MUFGコイン=1円”と固定化されている点でも異なる。発行者・運営者が特定企業となる点や、法定通貨をチャージ(≒法定通貨との交換比率が固定)する点では、Suica、WAON、nanaco等の電子マネーと似ている。 (3)期待が集まる“ブロックチェーン”仮想通貨が注目を集める理由は、新しい通貨であることももちろんだが、それ以上に仮想通貨を支える技術であるブロックチェーンが、銀行システムを劇的に変革させる潜在力を秘めているからである。ブロックチェーンとは、金融取引等の情報をコンピューターネットワーク上で管理する技術である。一定の時間内に発生した取引記録情報をまとめたもの(ブロック)を、不特定多数の参加者が検証しながら、チェーンのようにつないで蓄積し、インターネット上の膨大な数のコンピューターで情報を共有するのである。このシステムは、基本的に誰でも参加できるオープンかつ分散型のコンピューターネットワークであり、決済情報を外部に出さない銀行の決済システムのようなクローズ型の中央集権的なネットワークとは、その点で決定的に異なる。銀図表1 ビットコイン時価総額の推移図表2 他の仮想通貨や電子マネーとの比較出所:blockchain.info出所:各種資料をもとに筆者作成

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