政策・経営研究43号最終
31/75

フィンテックの現状と展望29行の決済システムは、閉じられたネットワークを司る銀行が管理し責任を持つが、オープン型のネットワークは、そうした責任者は存在せず、衆人環視の中で、決済の信憑性の合意を得る仕組みとなっている。こうした、オープンなネットワークを支える技術がブロックチェーンである。決済取引記録を集中管理する巨大コンピューターが不要であり、ひとつの機関において関わる人も少なくて済むため、運営コストが著しく低いことが特徴である。その一方で、このような衆人環視であるため取引記録の改竄や不正取引が防げるとは言うものの、決済の信憑性をどこまで保証するのかが現時点では確証がない。分かりやすく言えば、ウィキペディア(無料で使うことができるインターネット上のオンライン百科事典。不特定多数の人たちが、自由に執筆、加筆、修正できる点が特徴である)をどこまで信頼できるのか、に似ている。したがって、現時点では仮想通貨での利用レベルや各種の実験段階に止まっている。しかし、このオープンなネットワークが、決済の信憑性の保証に有効であると確証されれば状況は一変する。これまで銀行は膨大な決済システム・コストを負担してきたが、オープンなネットワークを活用した場合、大幅なコスト縮減が可能となる。その場合、銀行のビジネスモデルも劇的に変化するであろう。また、ブロックチェーンの応用分野は広く、金融分野を超えさまざまな分野に影響を与えうる。たとえば行政サービス分野で言えば、公証や登記、登録への応用も期待でき、実現した場合、行政組織を大幅に変えることとなろう。実際、土地の登記活用について、スウェーデンでは実証実験を行っている。ただ、現時点では試行段階にすぎない。結論がでて実務に活用できるようになるまでにはもうしばらく時間を要しよう。(4)仮想通貨法施行現在、仮想通貨市場が活況を呈している原因には、さまざまな理由が考えられるが、大きな要因として働いているのは、2017年4月1日に施行された改正賃金決済法(通称:仮想通貨法)であろう。この仮想通貨法は、先述のマウントゴックス事件の反省を踏まえ、これまで法的・制度的な位置づけが曖昧であった仮想通貨について規制を導入したものである。具体的には仮想通貨取引所(仮想通貨交換業者)に登録制を導入し、同業者に対して利用者への情報提供や仮想通貨も含めた利用者財産の分別管理、本人確認の実施等を課している。また、懸案だった消費税についても2017年7月1日より非課税となる。こうした仮想通貨の法的・制度的位置づけが明確化したことが、仮想通貨市場の盛り上がりを支えていると思われる。(5)投機目的が大半の仮想通貨しかし、現状、仮想通貨は、投機目的の利用顧客が大半であり、送金目的は極々少数であると言わざるを得ない。一方で、ビットコイン取引所は、取引サービスの中に信図表3 ブロックチェーン概念図注1:ハッシュ値・・・元データから一定の計算手順で求められた規則性のない固定長の値。暗号や認証などに活用されている。注2:ノード・・・サーバ、ハブ、ルータ等のこと出所:経済産業省「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」

元のページ 

page 31

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です