政策・経営研究43号最終
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人口減少社会における外国人の受け入れ・社会統合に関する論点43入国・滞在が認められたわけではない外国人によって日本社会が支えられている実態が認められる。4)「これから」の見込み以上では、「これまで」の日本における外国人の実態把握を行ったが、これから先の日本における中長期的な姿を概観して本節のまとめとしたい。上述した、「外国に由来する人口」の推計として、国立社会保障・人口問題研究所の是川(2017)が行った研究がある。1960年代以降から続く入国超過の趨勢が今後も継続すると仮定し、「日本の将来人口推計(平成29年推計)」、「在留外国人統計」、1987年以降の帰化許可者数および父母の国籍が識別可能なデータに基づき出生率と死亡率を考慮して推定を行っている。外国に由来する人口という観点から、これまでの趨勢を踏まえたひとつの推定モデルとして参考となる。結果をみると、外国に由来する人口は、約25年後の2040年には総人口の6.5%に相当する約726万人、約50年後の2065年には総人口の12.0%に相当する約1,075万人と見込まれている(図表8)。総人口比12.0%は現在の欧米諸国の水準に匹敵し、特に若年層ほど割合が高まり、20-44歳では総人口比18.0%を占めると算出されている。総人口と外国に由来する人口の2015年比の増減値を比較すると、人口減少分を置換するほどではないが、外国に由来する人口が増加すると見込まれている。日本の総人口が減少し、外国に由来する人口が急増する社会の到来が見込まれるなか、外国人をいかに受け入れ、外国人といかに共生していくかは待ったなしの政策課題であり、外国人(広い意味で移民)政策のグランドデザインを描き、議論を深めていく必要性が高まっている。ただし、外国人に関する議論は印象論や情緒的な性質を帯びやすく、また、「外国人」といっても、高度外国人材や技能実習生、留学生、日系人、難民等属性が多岐にわたり、かつ、受け入れ局面とその後の社会統合の論点が絡み合うため、「どの属性の、どの局面を対象に議論しているのか」が分かりづらくなり、議論が噛み合わないことがしばしば起こり得る。この点について、拙稿(2016)では、外国人に関わる論点の整理を試みており、大きく、1)外国人の受け入れに関する入り口の議論(出入国管理政策)と、2)すでに日本で生活をしている外国人に関する受け入れ後の議論(社会統合政策)を一体的にとらえつつも分けて考える必要があることを示した。本稿では、1)、2)それぞれについて、中長期的な観点から代表的な論点を提示したい。(1)出入国管理政策について出入国管理政策については、労働力の正面からの受け入れという点で、現在の在留資格制度では対応し切れていない、(高度外国人材ではない)「中技能の外国人」の受け入れに関する本格的な議論が必要だと考える(図表9図表8 日本における外国に由来する人口の推定出所:是川(2017)をもとに筆者作成3議論が求められる論点

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