政策・経営研究43号最終
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人口減少社会における外国人の受け入れ・社会統合に関する論点45ニーズ調査を独自に実施したところ、「産業人材」に対して約6割が評価すると回答し、企業側から一定のニーズがあることが分かった(図表10参照)。今後、本格的に「中技能の外国人」の受け入れに関する議論を行うにあたっては、受け入れる分野、人数(規模)、技能レベルや日本語能力、在留付与期間、家族の帯同の可否等が具体的な観点として考えられ、それぞれに議論すべき論点がある(図表11参照)。特に、「何をもって『中技能』と証明するか」という技能レベルが問われるが、たとえば愛知県の提案では、国家検定である技能検定3級以上をひとつの目安としている。現在、技能検定の一部職種は、アジア諸国現地で検定試験が実施され始めており、こうした動きが広がることで日本の技能検定取得者の裾野が拡大し、「産業人材」の母集団形成に寄与するとも考えられる。また、自由民主党(2016)の基本的考え方では、「いわゆる単純労働者」という用語の使用は不適切であり整理が必要であることや、何が「専門的・技術的分野」なのかが判然としていないことが言及されており、そうした問題意識と「中技能の外国人」対象の在留資格創設は通底しているとも考えられる。「中技能の外国人」の人物要件を精緻化させていくことで、これまで曖昧なまま使用されてきた「高度外国人材」や「専門的・技術的分野の外国人」、「いわゆる単純労働者」という用語の見直しと定義の明確化も期待される。上記に加え、「中技能の外国人」に在留資格を与え、正面から受け入れることで期待される効果として、技能実習生や留学生が本来の目的に沿った入国・滞在が促進される可能性が高まることが挙げられる。産業面でも、グローバル社会が一層進展する中で、国内企業の99%以上を占める中小企業における労働力確保に加え、社内の内なる国際化・ダイバーシティの促進、グローバル展開の土台形成、高度外国人材の獲得可能性の拡大等も期待されると考える。日本社会を支える中小企業の持続的発展を促すうえでも、企業側が雇用しやすく外国人側も定着しやすい社会制度の整備に着手しなければならない。ただし、直近の動きとして、2017年5月「『ニッポン一億総活躍プラン』フォローアップ会合」では、留学生の週あたりの労働上限時間の拡張や、現在新規入国が制限されている日系四世に対する「新しいワーキングホリデー」という提案が示されており、こうした表向きは就労を主目的とはせずに門戸を広げる方向については、再図表11 「中技能の外国人」の受け入れ要件の論点(例)出所:筆者作成

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