政策・経営研究43号最終
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人口減少社会における外国人の受け入れ・社会統合に関する論点47理を通過した後の日本語教育や、医療・介護現場や教育現場での対応等、日本で暮らす上での必要な支援は、外国人が暮らす地域社会にほぼ一任されてきた。その一方、受け入れる地域側には各種資源(人、カネ、情報、決定権等)が欠けており、十分な対応ができない事態が全国で発生してきた。こうした状況下で、社会統合政策を拡充していくためには、その前線に立つ(立たざるを得ない)地域側が連帯して、出入国管理を行う国に対して働きかけ、一体的な政策展開を求めていく必要がある。これまでは、群馬県太田市や静岡県浜松市等、外国人が集住する地域が限定されていたが、図表2の日本地図でも認められたように、外国人は全国各地において増加傾向にあり、今後外国人が散住する状況がますます広がることが予測される。その意味でも、基礎自治体を中心とする地域同士の連帯を意識的に強化していくことが重要だと考える。本稿では、労働力不足が顕在化するなかで、中長期的な観点から、外国人の受け入れとその後の社会統合について、今後われわれが議論するべき論点を提示した。実態把握からは、日本で永住推進政策を行っていないにもかかわらず、外国人の永住者や帰化人口はふえ続けていること、全就業者に占める「外国人依存度」が高まり、その大半は就労を主目的とせず入国・滞在を認められた外国人によって担われている実態があること、将来推計に基づけば、総人口が減り続ける一方で、外国に由来する人口はふえ続ける社会が到来することが示された。私たちは今、こうした社会に暮らしていることを直視し、今後どのような選択をしていくのか、出入国管理政策と社会統合政策の視座から、本稿で示したいくつかの論点も含め、一体的な議論を深めていくことが求められている。【注】1「外国人」の定義(考え方)について、本文中を参照。特に断りなく用いる場合は、外国籍を持つ者として扱う。2「高度外国人材」の定義の曖昧さについては、国松・加藤(2016)を参照。3こうした発想の前提にある、人口減少分を置換するほどの大量の外国人が日本に押し寄せてくるかのような想定も問い直す必要がある。4在留資格「高度専門職」への優遇措置以外で、日本において外国人に対して積極的に永住権を与えるような政策は採られていない。5正確には、「特別永住者」は在留資格ではないが、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に規定され、永住者と同様、活動の制限はなく、在留期間も定められていない。6外国人雇用状況の届出の提出は、2008年から義務化。提出率が向上することで、把握できる外国人労働者が増加している側面があること、また、当該届出には特別永住者が含まれていないことに留意が必要。本稿では、現在と同じ形で産業別集計が公表され始めた2009年以降を試算対象とした。【参考文献】・井口泰、2011、『世代間利害の経済学』八千代出版。・井口泰、2015、「東アジア経済統合下の外国人労働者受入れ政策」社会政策学会編『社会政策』7(2): 9-26。・自治体国際化協会、2012、「海外における在住外国人の言語学習制度」『自治体国際化フォーラム』(272): 2-16。・自由民主党、2016、「『共生の時代』に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」。・梶田孝道・丹野清人・樋口直人、2005、『顔の見えない定住化』名古屋大学出版会。・加藤真、2016、「『移民政策はとらない』発言にみえるズレと求められる論点の整理」三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 サーチナウレポート。・是川夕、2017、「日本における国際移動転換とその中長期的展望――日本特殊論を超えて」移民政策学会シンポジウム発表資料。・国松麻季・加藤真、2016、「日本における外国人労働者政策の検討課題と考察――『高度人材』の実像と活躍に向けて」高橋宏幸・加治敏雄・丹沢安治編著『現在経営戦略の軌跡――グローバル化の進展と戦略的対応』中央大学出版部:81-107。・文部科学省、2017、「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」の結果について。・佐藤由利子、2017、「移民・難民政策の入口としての留学生政策」移民政策学会シンポジウム発表資料。4まとめ

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