政策・経営研究43号最終
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シンクタンク・レポート52季刊 政策・経営研究 2017  vol.3競争力・企業価値向上を実現する経営スタイルとされながら、「健康経営で企業競争力を高めるとはどういうことか?」「どうやれば健康経営で企業価値向上につなげることができるのか?」といったHOW(具体策)が企業側に見えていないことも要因とおもわれる。こういった要因により、健康経営とは「従業員を大切にする会社」を実現するCSR活動だと認識している人も少なくない。従業員の健康投資により企業競争力・企業価値向上を実現するという「真の健康経営」にむけていくつかの課題をあげることができる。ひとつは評価指標の見直しである。行政や金融機関が独自の健康経営評価指標を導入しているが、健康度向上や生産性向上といった健康経営の直接的な成果を中心にしている。今後は健康経営の真の目的である経営アウトカムを盛り込んでいくべきである。経営アウトカムの評価指標として、上場企業であれば株価(企業価値)、売上や利益率(営業利益率、当期純利益、使用総資本経常利益率等)といった財務業績、新規事業売上高(成長率含む)等が考えられる。また健康経営推進による企業ブランド向上を把握する指標として、健康経営に関するコミュニケーション、好感度、イメージに関する指標も考えられる。もうひとつは健康経営の推進にトップマネジメントや経営企画等がさらに関わることである。健康経営を企業競争力・企業価値向上につなげるために、企業経営やビジネスの視点が必要不可欠である。そのためには健康経営の取り組みがステイクホルダーにどのように評価されているか、その結果、ステイクホルダーのロイヤリティ向上や具体的行動(購買行動やリクルート活動)につながっているかを把握する必要がある。つまり健康経営の取り組みによって企業ブランドを高めているかどうか、そして企業価値(業績や株価等)を高めているかどうかを、経営視点で確認する必要がある。前述の健康経営を企業競争力・企業価値向上につなげるHOW(具体策)として、「真の健康経営に向けた3ステップ」のフレームワークを提示する(図表4)。第1ステップは「社員を健康にする」。これは従業員の疾病予防や早期治療に投資することで、従業員の健康度を高め、結果として医療費抑制や生産性向上を実現することである。現在多くの企業はこのステップでとどまっている。第2ステップは「顧客を健康にする」。これは従業員への健康経営施策で得られた実績・知見を活かして、顧客に商品・サービスの形で提供することである。顧客は一3真の健康経営にむけた3ステップ図表4 「真の健康経営に向けた3ステップ」フレームワーク出所:筆者作成

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