政策・経営研究43号最終
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経営視点で取り組む「真の健康経営」に向けて53般消費者だけでなく法人企業も含まれ、既存事業だけでなく新規事業での展開も考えられる。たとえば健康測定機器大手㈱タニタは従業員食堂で提供していたおいしくて満腹感があるのに低カロリーのメニューが評判となり、レシピ本として大ヒットし、社外の食堂運営(タニタ食堂)や菓子(低カロリーキャンディ等)等に広がっている。またオフィス設備機器大手㈱イトーキは働く人が健康になるオフィス環境を自社施設で実証実験を重ね、健康経営を実現するオフィス環境に関する商品・サービスとして提案している。いずれも社員を健康にする取り組みから、社外の人を健康にするビジネスへ展開した取り組みである。第3ステップは「地域社会を健康にする」。これは第1ステップおよび第2ステップで得た実践・知見を活かして地域社会の健康増進に参画・貢献することである。コンビニエンスストア大手㈱ローソンはコーポレートスローガン「マチの健康ステーション」を掲げ、さまざまな健康増進施策で従業員の健康投資を行うだけでなく、調剤薬局併設やOTC販売、美と健康をテーマにした業態「ナチュラルローソン」等顧客を健康にする取り組みも強化している。そして地域社会を健康にする取り組みとして、ローソン店舗敷地を利用した健康診断(コンビニで出前健康診断)や店舗での健康相談(まちかど健康相談)、Pontaを活用した健康ポイント制度にも取り組んでいる。いずれも店舗を起点として地域住民の健康増進に参画・貢献する取り組みである。従業員の健康投資により企業競争力・企業価値向上を実現する経営スタイルとして健康経営が注目されている。しかし、健康経営の取り組みが進んでいる企業であっても、従業員の健康度向上および生産性向上にとどまっており、企業競争力・企業価値向上までの道筋ははっきりしていない。企業価値を向上させる「真の健康経営」を実現するには、より経営視点で取り組むとともに、社員を健康にする取り組み(第1ステップ)から、顧客を健康にする取り組み(第2ステップ)、そして地域社会を健康にする取り組み(第3ステップ)へと進化していくフレームワークが考えられる(第2ステップと第3ステップは同時並行も考えられる)。第1ステップから進んだ、第2 ステップおよび第3ステップの取り組みは、健康経営の真の目的である企業価値および企業ブランドの向上につながるはずである。4まとめ【注】1保険者とは健康保険事業の運営主体のことであり、全国健康保険協会と健康保険組合の2種類がある。健康保険組合は単一の企業で設立する組合や同種同業の企業が合同で設立する組合などがある。2第1回健康経営銘柄の選定企業紹介レポートも紹介されているが、本稿では各社の取り組みが本格化した第2回以降を分析対象としている。【引用文献】・Rosen, R. H., & Berger, L. (1992) The healthy company : Eight strategies to develop people, productivity, and profits, Tarcher・岡田邦夫、高橋千枝子(2015)『これからの人と企業を創る健康経営~健康経営評価と企業価値創造~』社会保険研究所・経済産業省『健康経営の意義及び「健康経営2017」の選定方法、評価の視点について』 http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_meigara.html(2017年7月6日確認)・経済産業省、東京証券取引所『健康経営銘柄2016選定企業レポート』・経済産業省、東京証券取引所『健康経営銘柄2017選定企業レポート』・特定非営利活動法人健康経営研究会 http://kenkokeiei.jp/whats(2017年7月6日確認)・三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2007)『CSV経営による市場創造-CSVアプローチでステークホルダーとWin-Win関係構築』日科技連出版社

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