政策・経営研究43号最終
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シンクタンク・レポート56季刊 政策・経営研究 2017  vol.3系統不明の孤立した言語と言われるバスク語は、フランシスコ・フランコ(Francisco Franco)将軍による独裁政権の時代において使用が禁止されていた。しかし、1979年の自治憲章において、バスク語は自治州の公用語であると宣言され、公的な地位を回復したのである。こうした背景のもとバスク自治州では、バスク語使用の維持・回復を目的として「バスク語使用正常化法」が1982年に施行された。そして、「言語政策局」が中心となって、カスティーリャ語とバスク語のバイリンガル教育が推進されている。また、同教育のために、現職教員のバスク語能力養成とバスク語教材の確保(コスト削減と質の維持)のための支援が行われている。こうした振興の成果もあり、バスク語人口は近年増加傾向にあるとのことである(石井2003:79-94)。②サッカーにおける多様性バスクのサッカーも独特の世界をかたちづくっている。バスク地方ビルバオ市に本拠を置くクラブ「アスレティック・ビルバオ (Athletic Bilbao)」は、バスク人のみのサッカー・チームとして有名である。実際には、幼少時からバスクで育ったことがある、または、祖父母がバスク人であれば海外からの入団も認められる等、“バスク人”の定義は拡大しつつあるようであるが、サッカー選手の移籍がグローバル化する中で、同クラブの“純血主義”は極めて異色の戦略であると言えよう(竹内2006:445-459)。このように、バスクにおいては純血主義に根ざした独自のサッカー文化が根づいており、これらの地域の人々が「ラ・ロハ」(赤色の意味であり、サッカー・スペイン代表のユニホームの色であることから、同チームの愛称となっている)に熱狂することは、かつてはほとんどなかった、と言われている。③地方自治における多様性スペインでは広範な地方自治が保障されており、その代表的な地方自治制度として、17ある自治州をあげることができる。この自治州という制度に関しては、「歴史的、文化的及び経済的な共通性を持つ隣接県、島嶼地域、あるいは歴史的・地域的統一性を持つ県は、関係する県及び市町村の発議により、自治州を組織することができるとされている(第143条第1項及び第2項)」。また、「そのためには、自治州の最高規範となる自治憲章(Statute 図表1 アスレティック・ビルバオのスタジアム「エスタディオ・サン・マメス」出所:筆者撮影

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