政策・経営研究43号最終
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シンクタンク・レポート64季刊 政策・経営研究 2017  vol.3作『ギルダ(Gilda)』(1946年)に由来する。この映画のヒロインであるギルダ(スペイン語の発音で「ヒルダ」)のキャラクターは、「愉快で、色っぽく、ちょっと刺激的(salada, verde y un poco picante)」12であるとされる。実はそれぞれの単語には別の意味があり、salada=塩辛い、verde=緑色の、poco picante=ちょっぴり辛い、となる。そこで、“塩辛い”アンチョビと“緑色の”オリーブの実、そして“ちょっぴり辛い”青唐辛子の酢漬けを串刺しにしたピンチョス「ヒルダ」が創作されたとのことである。その後、21世紀になろうかという頃に、「小皿系のピンチョス」が登場する。そして、「レストランで出すような手の込んだ料理を小さなポーションで提供するこのスタイルは、出てきた当初から爆発的な人気を博した」(山口2013:43)とのことである。このようなミニチュアの料理がつくられた背景は、「とある一店が座って食べるレストラン免許を取得できなかった際に、苦肉の策として考案したバルで出すあたらしいおつまみのアイデアがはじまり」(高城2012:122-123)とのことである。このようなバルにおけるピンチョスの進化は、レストランのメニューにも影響を与えていった。今日、ビルバオのレストランの多くは、メニューを「デギュスタシオン(Degustation)」で提供しているのである。「デギュスタシオン」とは、英語で言えば“tasting menu”であり、一皿の量が少なめで皿数が多いという、シェフのおまかせコースのことである。さらに、「ピンチョス」という独特の食文化は、「ポテオ」または「チキテオ」と呼ばれる「はしご酒」の文化とも密接不可分な関係にある。図表9 バルに並べられているさまざまなピンチョス出所:筆者撮影図表8 代表的なピンチョス:ヒルダ出所:筆者撮影

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