政策・経営研究46号最終
14/57

事例報告「海外企業の自然資本経営」11うに資金援助やキャパビルをすることを続けてきました。その成果のひとつとして2015年までにリプトン紅茶のティーバックは100%レインフォレスト・アライアンスを取ったものになりました。もうひとつはパーム油の話です。ユニリーバは世界最大手のパーム油企業と一緒に「森林破壊ゼロ宣言」を打ち出しました。サプライヤーに押しつけるわけではなく、一緒になって森林破壊ゼロを実現していくためにどんなことができるかということを宣言しながらプログラムをつくっています。この結果、RSPO認証の比率も上がってきています。次は、ネスレの例です。こちらは食品大手ですが、皆さんよく知っているキットカットとかコーヒーをつくっている会社です。こちらもユニリーバと似ていますが、自然資本を保全する経営が非常に重要だということを明確に経営方針として打ち出していて、それを実現するためには、農家の生活向上と人権配慮が非常に重要であり、それを一体的に進めるとはっきり宣言しています。具体的にどんなプログラムを進めているのか。ネスレもサプライヤーは非常に数が多いのですが、自分たちの基準をしっかりと満たしているかという監査をするとともに、農家を支援して研修を受けてもらっています。彼らから必ずこれだけ分を直接購入するという約束をしたうえで、彼らに環境保全や人権配慮という基準を守ってもらって購入するというプログラムを進めています。また、責任ある調達ガイドラインというものもつくっています。彼らはカカオ豆をコートジボワールから購入していますが、こちらでは児童労働の問題が非常に深刻で、そこにきちんと配慮して調達をしないといけないということで、まずは児童労働の研修を農家に行いました。加えて、児童労働があるということは、やはり貧困等、暮らしのレベルと非常に関わりが深いので、高収量のカカオの苗を開発して、その苗木を彼らに配布して生産性を上げてもらい、その結果として収入も上げてもらうようにしています。さらに学校を建設するという支援等も行っており、生産地の貧困問題、人権問題を自分たちの持続可能な生産と非常に関わりが深いということで進めています。ネスレはもうひとつ、自社の取り組みが自然資本にどれだけ影響を与えるかということを定量測定するプログラムも走らせています。これは、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD:World Business Council for Sustainable Development)とかグローバル・コンパクト等が中心になって2016年に公表された「自然資本プロトコル」にしたがって測定して、経営リスクを把握しています。出所:登壇者講演資料出所:登壇者講演資料出所:登壇者講演資料

元のページ 

page 14

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です