政策・経営研究47号最終
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デフレとの20年戦争を終わらせよう39拡大し、12年12月には101兆円(うち長期国債買入れ基金44兆円)にまで拡大した。実質ゼロ金利政策となり、金利の変更が凍結される中、金融緩和の強化はもっぱら買入れ枠の増額によって実行されるようになった。金融政策の調節対象が実質的に金利から量にシフトしたと考えることができよう(図表3)。一方、物価目標の導入に向けての動きは、「包括的な金融政策」に先立って、「デフレ宣言」直後から始まっていた。09年12月19日の政策決定会合では、中長期的な物価安定の理解について、「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラス領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている1」として、「ゼロ%以下のマイナスの値は許容していない」ことが示された。「包括的な金融政策」では、この「中長期的な物価安定の理解」に基づいて時間軸が明確化され、事実上の物価目標が導入されたと解釈できる。12年2月には、それまでの「理解」に替えて、「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面は1%を目途とする」という「中長期的な物価安定の目途」が示された。さらに同年10月に出された白川日銀総裁、前原経済財政担当大臣、城島財務大臣の連名による共同文書では、「1%を目指して、強力に金融緩和を推進していく」と記されており、インフレターゲットの色彩が一段と強まった。日銀と政府による共同文書は異例のものであると同時に、こうした流れが、13年1月の「政府・日本銀行の共同声明」とそこで示された「2%の物価安定の目標」につながっていったと考えられる。(1)「量的・質的金融緩和」の導入2013年3月に黒田日銀総裁が誕生し、初めてとなる同年4月の金融政策決定会合において「量的・質的金融緩和」の導入が決まった。その内容を確認すると、①マネタリーベース・コントロールの採用・金融市場調節の操作目標を無担保コールレート(金利)からマネタリーベース(量)に変更し・マネタリーベースを年間約60~70兆円のペースで増加させる②長期国債買入れの拡大と年限長期化によりイールド図表3 白川総裁のころから始まっていた量的緩和注:買入れ額はグロス(償還額とネッティングさせていない)出所:日本銀行ホームページ3挙国一致体制の下で戦線が急拡大

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