2020-2021SEARCH
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■コンセプトを「検証」すること世の中にまだ無いモノや取組んだことがないサービスに関するコンセプトについて、まずは検証することを一般にPoC(proof of concept : 概念実証、またはコンセプト実証)と呼び、民間企業や研究開発の分野では広く行われています。近年、官民連携の文脈においてもこのPoCを社会実験、実証実験と題して行っている例も多く見られます。■官民連携ゆえの難しさとは企業がPoCを行い、その後、世に送り出すか否かについては自ら最終判断を行います。それ故に市場の受け入れられ方によっては短命な場合もあります。一方で、官民連携におけるPoC、特にサービス分野について考えてみましょう。まずは、公的なサービスなので、官民間の費用負担については十分な検討が必要です。民間企業に任せることで成立するのであれば、そもそもの官民連携の必要性が問われますので、そのバランスのあり方もPoCで検証しなければなりません。仮に民間企業の採算性を圧迫する場合には、そのサービスの範囲などの可能性やビジネスチャンスを解放することも重要です。一方で公的サービスであるが故の採算性では計れない部分を認識し、サービスの継続性を十分に吟味し、すぐに「撤退」の判断に至ってしまわないような支援も必要です。■スマート化は待ったなしCOVID-19が社会へ落とした影響分析について現時点では深く言及できませんが、少なくとも、デジタルとリアルのハイブリッドな社会環境については多くの方が受け入れざるを得ない状況にあると思います。その中での官民連携における「スマートサービス」は民間1社が単独で囲い込むビジネスでは無く、民間同士も連携した上での行政との連携が望まれます。これによってPoCのその後に将来性がなく、ただPoC疲れをしてしまう状況にはならない、新しいスマートシティ&ビレッジの構築ができると考えます。「PoC疲れ」しないスマートシティ&ビレッジ公共経営(PPP等民活導入・事業化戦略)■リモート型の災害廃棄物処理図上訓練の必要性新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い参集型の研修の開催が難しかった2020年度。当社では自治体職員を対象にした災害廃棄物処理の図上訓練をリモート型で企画・運営しました。参加者・有識者・事務局(当社)がウェブ会議システムを通じて顔を合わせ、参加者はメールや電話(同システムの対話機能で代替)を活用して情報収集等を行い災害廃棄物処理に関するシナリオを進めました。その結果、これまでの参集型の様式(紙媒体)による情報交換ではなく、実際の災害時に使用するシステムやツールを活用した図上訓練の必要性を実感する機会となりました。また、参集型と同様の災害廃棄物処理に関する改善項目が導出され、その有効性も立証できました。■参集型とリモート型の図上訓練の特徴参集型とリモート型の図上訓練の特徴は右表の通りで、それらを理解したうえで図上訓練を実施する必要があります。共通の特徴としては、災害対応経験者(被災経験職員)を各班・各担当に配置できると、訓練中の意見交換を通じて参加者が学びを得やすくなります。参加者の被災経験等も踏まえた班構成や役割分担を工夫することで、より効果的な図上訓練が実施できます。当社が有する参集型・リモート型両方の図上訓練のノウハウを活用し、今後の災害に備えて災害廃棄物処理の対応力向上を支援して参ります。災害廃棄物処理に関するリモート型の図上訓練の取組防災・危機管理Foresight [ 視 点 ]12主任研究員宮田 将門PFI/PPP(官民協働事業)持続可能な都市・農村経営海外都市開発主任研究員小森 清志環境・エネルギー政策地域防災高年齢者・外国人材(観光)の活躍リモート型●より職員個人の対応が求められ、災害発生時に近い対応となる。●被災時に使用する機器やツールを活用した実践的な訓練となる。●移動がないため遠方からでも参加しやすく、新型コロナウイルス感染症等の人流制限時でも対応可能。●(全員がリモート参加の場合)模造紙や付箋等の訓練資機材、新型コロナウイルス感染症等の衛生対策の資機材、広い会場等が不要。●ウェブ会議システムの有無(使用可否)、通信環境、システムリテラシーの高低等が満足度に影響。●訓練内容とウェブ会議システムによる動作理解に時間を要する場合がある(事前研修等で模擬体験が理想)。●有識者や事務局が全体を俯瞰するのが難しい(現場の担当職員との連携が必要)。参集型●訓練中に顔を見て相談しやすい。●市町村の担当職員間のネットワークが構築しやすい。●被災経験自治体の職員と直接対話ができ教訓等を得やすい。●訓練中の意見交換や共同作業などで満足度が高まる。●他の自治体職員の対応力を間近で体感できる(自身の対応力を測ることができる)。●遠方からの参加者を考慮した企画・調整が必要。●模造紙や付箋等の訓練資機材、新型コロナウイルス感染症等の衛生対策の資機材、広い会場等が必要。メリットデメリット[ 図上訓練の特徴 ]

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