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■広域道路交通に関する新たな指針2018年3月の道路法一部改正により創設された「重要物流道路制度」を契機として、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網となる路線を重要物流道路として指定し、機能強化や重点支援を図ることになりました。新たな社会・経済の要請に対応しながら、効果的に重要物流道路を指定するために、全国の地整ブロック単位および都道府県・政令市の地域単位にて、今後20~30年の中長期的な観点から広域的な道路交通施策に係る「新広域道路交通ビジョン」と「新広域道路交通計画」が検討され、【中部ブロック版】のビジョンと計画は、2021年3月に国土交通省中部地方整備局より発表されました。■広域的な道路交通施策の基本方針ビジョンでは、社会・経済の現状や見通しを踏まえた地域の将来像を掲げ、その実現に向けた広域的な道路交通に関する今後の方向性について、平常時・災害時および物流・人流の観点から3つの体系〔(1)広域道路ネットワーク、(2)交通・防災拠点、(3)ICT交通マネジメント〕毎に基本方針が示されました。また、計画では前述の3つの体系に対応する具体的な取組が策定され、その中で広域道路ネットワークの計画は「広域道路整備基本計画」以来、約20年以上の月日を経て改めて作成し直されたネットワーク計画であることも特筆すべき点と言えます。■「人々の幸せの実現」につながる道路政策「2040年、道路の景色が変わる」※には冒頭に次のような一文があります。「…略…予見困難な事象が多数存在し、このような時代に明確な未来を見通すことは極めて難しい。しかしながら、未来は必然的にもたらされるものではなく、我々が積み重ねる意志決定によって創られるものである。」中部ブロック版のビジョン・計画は、こうした思想に則り策定されていると解され、広域道路交通に係る各種施策が社会・経済・生活に対する能動的な働きかけとなり、人々の幸せの実現に貢献することを期待してやみません。【中部ブロック版】新広域道路交通ビジョン・新広域道路交通計画の策定公共事業評価・社会資本政策■DX推進の背景インフラ施設の老朽化に代表されるアセットマネジメントの課題に対して、国は従来から生産性向上等を目指し、i-constructionを推進してきました。近年では、Society5.0に代表される技術革新やデジタル庁の創設など社会経済情勢が急激に変化したことを契機として、インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速化されようとしています。■地方公共団体の アセットマネジメントに係る業務と実態地方公共団体のアセットマネジメントは、日常的に実施する維持業務と計画的に実施する修繕改修業務に大別されます。維持業務の主な内容は、①巡回・住民要望受付②補修(小修繕)③台帳記録となっており、1日から1週間の短期間で即時に対応します。修繕改修業務の主な内容は、①点検②診断③計画④対策実施⑤評価となっており、1年間から5年間程度の中長期で対応します。これまでアセットマネジメントの計画作成に携わってきましたが、数名の人員体制で膨大な量の橋梁、道路などの管理を余儀なくされている地方公共団体も少なくありませんでした。このような地方公共団体の体制では、利用者からの要望対応等の維持業務に忙殺され、修繕改修業務の高度化・効率化まで検討することは難しい状況となっています。■DXの段階的な導入アセットマネジメントのDX導入では、修繕改修業務の点検・診断・計画の高度化・効率化に着目される傾向にありますが、上記のような地方公共団体では、ボトルネックとなっている日々の維持業務に先ずはDXを導入し、効率化を図ることが先決です。例えば、タブレットによる巡回点検や台帳記録の効率化や住民要望対応のチャットボット導入による効率化などが考えられます。その上で、効率化された時間を有効活用し、修繕改修業務へのDX導入の拡大や計画策定、評価の高度化を図っていくことが肝要です。地方公共団体におけるインフラ分野のDX推進に向けて公共事業評価・社会資本政策Foresight [ 視 点 ]14主任研究員右近 崇経済効果分析社会資本政策 公共事業評価副主任研究員塩澤 健太郎PFI/PPP(官民協働事業)アセットマネジメント※出所:社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会 提言「2040年、道路の景色が変わる(2020年6月)」

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