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Hagiwara TatsuoNagao Hisanori2022-23 SEARCH知的財産戦略(知財経営、知財活用、知財金融等)中堅・中小企業支■ DX・ICT利活用産業政策技術戦略事業戦略あらゆる産業において事業環境は変容のまっただ中にあります。コロナ禍を経験し不安定な環境下での判断が経営者には求められ、個別の経営課題の解決はもとより、環境変容に適応させる活動に注力することも必要です。このため中小企業等に対する支援についても多様性に応えることが不可欠となり、地域における支援基盤にも変容が求められています。■地域における「納得性」を形成できるか?2020年からの10年間は我が国の中小企業支援の転換期になると筆者は予想します。例えば「中小企業庁と特許庁・INPITの連携※」のインパクトは今後顕在していくと期待します。自治体においても、地域産業の競争力を維持・拡大させるにあたり、変容への適応を上手にマネジメントすることを重視すべきではないかと考えます。その方法に唯一解はありませんが、これまでの価値の■間やその先に拡がる未踏の価値にいち早く到達できるよう、支援される側と支援する側の「納得性」を共有させ、地域に定着させることが1つの方法と考えます。※中小企業・スタートアップの知財活用促進に向けたアクションプラン 特許庁・独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)2021年12月https://www.meti.go.jp/press/2021/12/20211227002/20211227002.html※「雇用保険事業年報」のデータを基に中小企業庁が算出変容の荒波を乗り越えるにあたり、支援者の役割も臨機応変な対応が重要となります。眼前の課題解決のみならず、気づいていない問題点を企業と共に発掘し、バラバラに見えるものから共に「腹落ち」できるような方向性を見つけていけるか(多義的なものの見方の足並みを■えること)が重要と考えます。そのためには、支援者自身の支援スタイルの変容を実践し納得性を高める機会を地域内に確保していくことが必要となります。そうした機会を地域内に創り出し、支援される側と支援する側の双方に研鑽する場を提供していくことは自治体の役割の1つになると考えます。地域全体で腹落ちできる施策パッケージを皆様と一緒に議論して実現させていきたいと考えています。地域経済の成長を促進するうえで、新たなアイデアをもつ企業が開業し、新陳代謝を進めることが重要です。とりわけ開業率が高い「宿泊業・飲食サービス業」と「生活関連サービス業・娯楽業」は、住民のニーズに応えてきめ細かなサービスを提供する地域密着型の産業であり、自治体がその起業を促進することが期待されます。これらの起業は地域に根付いて持続的な発展を目指すスモールビジネスであり、急成長を目指し、上場や事業売却を出口とするスタートアップとは異なる施策が必要です。■商店街をまちの起業家ストリートへ多くの自治体では商店街の活性化が課題となっていますが、開業率が高まっているこれらのスモールビジネスをインキュベーションする機能を導入し、まちの起業家ストリートとして活性化することを提案します。コメダ珈琲やCoCo壱番屋のような地域企業の創出を目指しましょう。11[県別開廃業率] 単位:%4.9廃業率開業率2.9岐阜県5.94.65.03.73.23.1静岡県出所:中小企業庁「2022年版中小企業白書」愛知県三重県5.13.3全国グループ長/主任研究員萩原 達雄主任研究員長尾 尚訓産業振興中小企業支援「腹落ち」できるアプローチを地域で共有■変化・変容を求められたこの数年を経て産業振興商店街をまちの起業家ストリートへ■新陳代謝が進む地域経済 開業率※は、中小企業白書によると、2018年に前年度比減少となったものの、2020年度には5.1%に回復し、廃業率(3.3%)を上回りました。開業率が廃業率を上回るのは2010年度以降続いています。特に「宿泊業・飲食サービス業」の開業率は8.7%と最も高く、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」が6.3%と高くなっており、いずれも開業率が廃業率を上回っています。岐阜県、静岡県、愛知県、三重県の東海4県でも全産業では開業率が廃業率を上回っており、全国と同様、これらのサービス産業の開業率が高くなっているものと推測されます。■地域の支援資源の足並みを■えることから■自治体による起業支援

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