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Todoroki OsamuSiozawa Kentaro2022-23 SEARCH都市・地域計画土地利用地区交通計画PFI/PPP(官民協働事業) アセットマネジメントここ数年、市町村の庁舎計画・整備が多くなっています。これら庁舎には交流機会を提供する空間として「交流ゾーン」等が設けられ、まちづくりの核と位置づけられていました。人が集まり、話をし、議論することは、都市活動そのものといえ、欧州の都市史をみると、そうした都市活動の中心が議場であり、庁舎であるともいえます。しかしコロナ禍により、こうした人と人とが何となく集まる、ということへの懸念が生じていて、必ずしも人が集まることを是としない向きがあるように思えます。また一方でDXの進展をとらえ、様々な電子化によって「(基本的に)来庁しなくてもよい庁舎」をコンセプトとして打ち出した庁舎もあります(東京・渋谷区役所など)。このように多くの人が来やすく、時間を過ごせる空間を目指すか、行政サービスはオンラインを中心とした提供に移行し、必要最小限の空間を有する庁舎を目指すか、といった2つの方向にあるように思えます。行政機関のデジタルトランスフォーメーションが加速化されている中、国土交通省では、3D都市モデルである「PLATEAU」を整備し、全体最適・市民参加型・機動的なまちづくりの実現を目指しています。PLATEAUは官民問わず様々な分野における都市情報を集積できるプラットフォームです。国土交通省では、「まちづくり」、「防災」、「地域活性化・観光」、「インフラ維持管理」等をユースケースとして、開発利用を促進しています。■地方公共団体のユースケース地方公共団体に、PLATEAUのユースケースをヒアリングした所、「防災」や「地域活性化・観光」の分野は活用が想定されましたが、「インフラの維持管理」のユースケースについては発展途上と言えます。こうした人が集まることの否定は、単に庁舎の問題に留まらず、今後の都市やまちづくりに突きつけられた課題とも言えるでしょう。■屋外空間への着目この深遠な課題を考える前に庁舎整備における結論めいたことを示すとしたら、電子化による倉庫や書庫スペースの削減を行いつつ、市民サービスはデュアル(庁舎に来たい人、来たくない人)に提供できるようにする、ということは問題ないでしょう。一方、都市と疫病との歴史を改めて眺めると、“都市の肺”であり、“まちのリビング”とも言われる公園やオープンスペースに注目できます。庁舎整備においても偶然の出会い(セレンディピティー)や交流を生み出すスペースとして庁舎の屋外空間を上手く取り込んでいくということに答えの一端があるように思います。一方で、静岡県は先駆的に「VIRTUAL SHIZUOKA」を構築しております。これは点群データで3D都市モデルを構築することで、地形や電線も再現しており、インフラの整備、維持管理での活用も想定しています。熱海での災害では、流出土砂量の迅速な算定に寄与したことでも記憶に新しいです。■都市経営への可能性「まちづくり」、「地域活性化・観光」の分野では、都市情報のプラットフォームであるPLAETEUの活用がイメージしやすく、「インフラ維持管理」の分野では、現場の地形等を把握することが重要となり、VIRTUAL SHIZUOKAの活用がイメージしやすいと言えます。これらの3D都市モデルで、都市計画のシミュレーションがオープンに実施できるとなれば、都市経営のプロセスやコストを抜本的に改善する大きな可能性を秘めています。15主任研究員轟 修副主任研究員塩澤 健太郎都市・地域計画問われている庁舎(City Hall)のあり方■問われる交流の場としての庁舎公共経営3D都市モデルによる都市経営の可能性■3D都市モデル整備の目的およびユースケース■静岡県の先駆的なプロジェクト

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