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Uchida KatsuyaMiyata Masato観光地域づくりMICE戦略地域振興持続可能な都市・農村マネジメントPFI/PPP(官民協働事業)海外都市・街区開発2022年4月に発生した遊覧船事故や、テーマパークのウォーターショーでの水上バイクと観客との接触事故等、昨今、改めて観光業における安全管理の必要性が認識されています。また長引くコロナ禍により、観光施設における感染症対策はベーシックなものとして定着してきています。SITEが発表したレポート※において、アフターコロナにおけるインセンティブツアー(報奨旅行)の世界的な動向として、目的地選択における考慮事項で「安全性」が最も高い値を示しています。また国内でも修学旅行の訪問先選択の際に「安全」が最優先して考えられるなど、観光における安全・安心は国内外限らず、切り離せない重要な要素となっています。■観光における安全・安心で留意すべきこと観光業に求められる安全・安心の要素は、観光コンテンツ(体験プログラム)の安全、遊具などの設備の安全に加え、特に公共空間においては老朽化したインフラへの対応等があげられます。また昨今では激甚化する自然災害への対応や、生命にスマートシティの取組みは、世界的に見ても都市ごとに相当な差が出ています。取組みの出遅れ具合に、今から何をすればよいか等、ご相談も最近では多いことは事実です。「もはや周回遅れでは?」という声も上がりますが、むしろ周回遅れだからこそ、既存取組みから学ぶことも多いと言えます。加えて、スマートシティ自体が時代ごとのニーズに合わせて変化し、ある意味柔軟な考え方です。このような捉え方をすれば周回遅れ自体が無いのかもしれません。もっとも、スマートシティという言葉自体もいずれは死語となり、違う言葉に置き換わる可能性も十分にあります。また、都市計画に包含される内容になっていくことも考えられます。■需要起点で取組みを今後、スマートシティづくりに取組む自治体やそのパートナー企業が注目すべきは、その「最新」さをどこで確実に捉えるかです。日本ではスマートシティに限らず、政策やビジョンは、問題・課題起点の取り組みが多いのが実態です。非常に緻密な※インセンティブにおける国際的な団体であるSITE (Society for Incentive Travel Excellence)発行のレポート「THE CHANGING FACE OF INCENTIVE TRAVEL」関わる食の安全(食品衛生、中毒、アレルギー等)、夏季の熱中症対策も特に留意が必要となります。さらには治安対策、セキュリティ、サイバーテロ(顧客情報管理)も配慮すべき安全対策の一環となります。■これからの安全・安心な観光の提供に向けてアフターコロナ時代に観光業の再生が本格化していく中、選ばれる観光地になるため、安全・安心のための早期・中長期的な設備投資や従業員教育等による体制の強化により、利用客の安全確保への対応を進めるだけでなく、従業員の労働環境の安全確保にも十分な配慮が必要となります。今後は安全・安心のための総点検、施設整備、これらを進める上での投資、情報発信のあり方について、施設単体で対応するに留まらず、観光地域づくりの一つの指針として的確に位置付け、地域全体で実施していくことが選ばれる旅先・観光地域となるためには重要と捉えます。調査の上に成り立つこれらの取り組みは、良くも悪くも「モグラたたき」状態であり、時代とともに穴の数が増える一方です。もちろん、そのような問題・課題起点の取り組みも必要ですが、スマートシティにおいては、むしろ問題・課題を踏まえた「需要」を捉え、これに応えることが最も重要であり、これが「最新」のスマートシティと言えます。■市民に支持されるまちに非常にシンプルな例を挙げると、「ショッピングモールの駐車場から出るのに、混雑のため20〜30分もかかる。とにかく早く脱出したい!」、「休日の中心街を訪れたら駐車場の空きがない。混雑が分かっていれば公共交通で来たのに、状況を知る術がない。予測でも良いので可能性を教えて欲しい。」このような需要は、あらゆる場面でまだまだ存在することでしょう。日常のふとした需要の取り込みを丹念に行い、それを克服し続ける「需要起点」のまちこそ、市民に支持される本当の意味でのスマートシティとなると考えています。18視 点グループ長/主任研究員内田 克哉主任研究員宮田 将門観光振興旅先として選ばれる地域となるための「安全・安心」への備え■重要度を増す観光の安全・安心都市・地域計画需要起点の都市としてのスマートシティ■周回遅れのスマートシティだからこそ

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