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Hishikawa Takayuki2022-23 SEARCHPFI/PPP(官民協働事業)都市・交通計画海外調査将来的に日本でも本格的に導入が期待されている電動モビリティに対する新たな交通ルールとして、警察庁は以下の3つの区分、①歩道通行車(新設、最高速度6〜10km/h以下)、②小型低速車(新設、最高速度15〜20km/h以下)、③既存の原動機付自転車等(既設、最高速度15〜20km/h超)を提唱しています。一般的な成人男性がやや早歩きをすると6km/hになることから、①歩道通行車に求めている最高速度は、交通工学上は歩行者と同じか少し速い程度です。それを条件に歩道での走行を認めることになっています。追い越しもゆっくりと行われ、恐怖感も少なくて済みます。現行法では立ち乗りの場合、原付以上の規格しか認められていませんでしたが、今後は立ち乗り搭乗型の低速モビリティが商店街などの歩行者の多い空間でも自由に走れる交通ルールに変わり、様々なモビリティがより身近な存在になっていくと考えられます。一方で、②小型低速車に求める最高速度は自転車の速度帯と同等であり、歩行者と混在してしまう歩道や路側帯での走行は出典:警察庁「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会報告書」適切ではありません。このため、警察庁は歩道での走行を認めないものの、自転車道や普通自転車専用通行帯での走行を認める方針を示しています。また免許は不要とし、年齢制限を設け、ヘルメット着用を促進する予定です。諸外国での電動キックボードに関する各国の法制度をみると、ヘルメット着用を推奨とするか義務とするかは分かれています。一方で道路交通法改正案の「16歳以上」とする年齢制限は世界的にみるとかなり高めで、保守的です。需要に関しては不透明な要素が多いものの、この2つの区分の新設によって、多様なモビリティが道路空間に共存しやすくなり、短・中距離のモビリティ革命への布石といえます。ただし、実際の利用ニーズに沿った展開がなされなければ日本のモビリティ革命は不発に終わりかねず、日本の道路環境に適した法制度設計と実態に合った的確な運用が求められます。21研究員菱川 貴之交通政策交通ルールの変化はモビリティ革命に繋がるのか

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