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Sasaki MasakazuTanaka Mitsufumi都市力・地域力地方創生・人口問題戦略企画・事業化観光による地域の幸せづくり新型コロナウイルス感染症の拡大から2年以上が経過し、感染抑制と社会経済活動の活性化を両立させるステージに入りました。コロナ禍においては、通勤や購買活動を目的とした都市中心部への人流が減少し、外食や宿泊、更にはコンビニなど都心立地型の事業の経営環境が悪化しました。一方で、外食であっても郊外部で過去最高の売り上げを記録する事業者も出現しています。また、消費行動は、非日常から日常、フォーマルからカジュアルへと移行しています。ビジネスマーケットは大きく変化するとともに、暮らし方や働き方の変化に伴い新たなビジネスマーケットが各所で創出しています。コロナ禍で厳しい経営環境に置かれた事業者のインパクトが大きかったことから、近年の自治体等の産業振興はコロナ対策に終始しました。しかし、その間に新たなビジネスチャンスが各所で出現しつつあります。皆さんの地域は、何を目標(ゴール)に観光振興を進めていますか?各地での観光計画・ビジョンの目標の多くは観光入込客数の増加を掲げています。観光客数の増加はもちろんひとつの指標ではあるものの、本来の目標(最終ゴール)はそこではないはずです。観光客は増加しても地域にお金が落ちない、お金が落ちたとしても地域に消費循環されないのでは、観光による地域活性化を実現することはできません。観光振興の目標は、観光消費の増加と、観光消費の地域内循環により地域が潤うこと、そして、地域住民が観光により幸せを感じる“感幸”に繋げていくことが重要です。観光客を満足させるのはもちろん、受入側の事業者や地域住民も幸せを感じることに観光振興の意義があります。ただし、観光振興の取り組みを地域の潤いにつなげていくのは容易ではありません。では、どうするべきなのか。まず、地域としてするべきことは、地域の一体化です。そこで重要な役割をもつのがDMOです。マーケティング強化と実践、地域内の連携推進(マネジメント)、地域の魅力創出・磨き上げ(高付加価値化)、戦略的な情報発信や集客・消費促進等により、最終的に地域内に米国ではコロナ禍にスモールビジネスの起業が過去最大となったとの報告がありますが、国内の各地域においても、起業セミナーが活況だという話を聞きます。また、飲食店の二毛作ビジネスやメーカーのBtoC市場参入等、新しい領域にチャレンジする企業も増えています。2022年版小規模企業白書によると、コロナ禍で新商品開発や新市場開拓に取り組んだ企業が、それぞれ約4割、約3割あるとされています。新たなビジネスマーケットへの参入は、事業者にとってリスクが大きく、ノウハウにも乏しいことから、異業種との連携やテストマーケティングの機会等が求められます。しかし、パートナー発掘や市場調査のノウハウに乏しい事業者も多く、行政の支援への期待も少なくないと考えます。こうした新しい取り組みに対して、行政のもつ現在の支援メニューや体制が十分に活用し得るものか、企業の支援ニーズが十分に把握できているか、今一度、検証が必要といえるのではないでしょうか。潤いをもたらす機関として期待されます。それは、旧来の観光協会の看板の付け替えではなく、確実に任務を実践できる人材の確保と、様々な担い手が同じステージに立てる連携体制を作ることが重要です。観光はもはや6次産業(1×2×3次産業)という観点でとらえなければなりません。行政だけがけん引していくものではありません。その場を作り上げることによって、新たな観光ビジネスが生まれる可能性が広がります。観光による地域への潤い、地域住民の“感幸”のために、まずは、地域のあらゆる人が参画でき、一体となれる場づくりから始めてみませんか。それがはじめの一歩です。22視 点グループ長/上席主任研究員佐々木 雅一上席主任研究員田中 三文産業振興行政は企業の新たなチャレンジを誘発できるか■マーケット変化により多様なビジネスチャンスが到来観光振興これからの観光振興〜地域に潤いと“感幸”を〜■新たなビジネスマーケット参入に向けた支援を

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