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2022-23 SEARCH人口減少社会に突入した我が国では、地域づくりにおいて、交流人口や関係人口の確保・創出の重要性が高まっています。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止を契機としたテレワークの普及により、働く場所を問わない働き方への注目が高まっています。働きながら地域を楽しんでもらうワーケーションを推進し、新たな交流人口・関係人口の創出の糸口としようと取り組む動きが各地で見られています。愛知県三河山間地域においてもワーケーション等の推進が行われています。弊社が2021年度に愛知県から受託した「ワーケーション受入体制構築に向けた環境整備支援等に関する業務」では、取組の一歩目として、三河山間地域のワーケーション環境づくりの課題や可能性等を把握するための実証実験を行いました。具体的には、愛知県奥三河総合センター(設楽町)の1階ロビースぺ−スにおいてワーケーションに必要な環境整備を行った上で、OKUMIKAWA #503 Floor(標高503mのワークフロアの意味を込めて)という名称にて、実証実験を行いました。実証実験期間中に利用者アンケートを行うとともに、関係者へのヒアリングや首都圏住民向けアンケート調査等を実施し、三河山間地域におけるワーケーションの可能性・方向性、地域の認知度・魅力等について整理を行いました。タイの首都バンコクの中心部は大型ショッピングモールのオープンや大規模な地区開発などもいまだに多く、人がより集まる環境です。伴って、慢性的な交通渋滞が経済発展とともに続いています。他方、高架鉄道の開業も順次進み、自動車交通からのシフトを促してはいますが、渋滞の大きな解消には至っていません。加えて、バンコクは都市構造的に大きな街区内をSOI(ソイ)という文化的な毛細血管のような小道が無数に存在する環境です。このSOI沿線にも、高級コンドミニアムやサービスアパートメント、ホテルが乱立し、SOI内の渋滞増加や環境汚染も懸念されています。MURCはこの課題解決のため、国内外の複数の大学と共同で取組む「Thailand4.0を実現するスマート交通戦略」(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(通称SATREPS、JICAとJSTの共同実施)、研究代表:林良嗣 中部大学卓越教授)に参画し、SOI内の端末交通としての小型EV走行による渋滞緩和及び環境負荷削減の仮説・コンセプト策定から実証実験までを担当しています。新型コロナウイルス感染症の世界的な影響のため実証実験開始が当初よりも1年遅れとなりましたが、リモートでの納車式、3台の車両に対して日・泰のそれぞれのデザイナーによるラッピングを施した上で、配車アプリを搭載・配布し、「SOISOISOI」というサービス名称のもと、現在はその結果、三河山間地域において交流人口・関係人口を創出するためには、テレワークを行う場を作るのみではなく、その場を活用した仕掛け(人や企業が出会える仕組み等)の必要性が改めて確認されました。また、個人客が働きながら観光を行う、一般的に“ワーケーション”として想起される形以外にも、企業のミーティング・研修の場や外部企業と地元企業の交流の場、学生と地域の交流の場等、「働く」「学ぶ」を切り口とした多様な交流人口・関係人口の創出の可能性が考えられました。弊社では、地域固有の実情に即した方向性の検討を意識しながら調査・事業を進めてまいります。初期段階として、現地サービスアパートメントの居住者を対象に、日々SOI内の移動を支えています。具体の効果としては、タクシーを呼ぶことが減ったためにSOI内へ流入する車が減ったこと、従来は時刻表に沿ったシャトルサービスのみであったものがアプリからの予約で好きな時間に乗車できるようになったこと、小型EVの利用と鉄道利用の組み合わせが増えたこと、EVゆえにCO₂の排出量を大幅に削減できたことなどが既に確認されており、特にSDG11への貢献を果たしています。今後も、アプリの改善を行うとともに、実証実験の対象者を拡大することで、需要を見極め、あるべきサービスの可能性を検討して行きます。30サーチトピックス多様な交流人口・関係人口の創出に向けたワークスペースの整備タイ・バンコクで都市課題解決のための実証実験を開始!

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