飲食サービス業の収益力強化

2016/02/19 奥山 信博
サービス業

実質的な市場成長率をみると、1990 年代前半から市場は縮小均衡へと向かっている。中長期的な人口の減少にともない、飲食サービス産業は淘汰の時代へ突入しつつある。そのいっぽうで、逆風の環境変化の中にあっても、継続して高収益をあげている企業は存在する。経営コンサルタントとして数多くの飲食サービス企業と接してきたが、それぞれの企業の収益力、言葉を換えればそれぞれの企業が持つ「稼ぐ力」には歴然とした差が存在する。本稿では、収益力強化という観点から、「稼ぐ力」を手に入れる5 つのポイント、(1)現場の継続力、(2)現場の人材力、(3)付加価値の取り込み、(4)組織体制の括り方、(5) PDCA の回し方、に焦点をあてる。
「稼ぐ力」を手に入れるためには、第一に、当たり前のことを当たり前にやり続けなければならない。当たり前の水準を上げ続けていく力が、すなわち強い継続力である。第二に、現場の人材力を高めねばならず、そのためには従業員が商売感覚を身に付けねばならない。従業員が商売感覚を身に付けるためには、商売に必要な機能をワンセット与えなければならない。第三に、バリューチェーンの上流の内製化、ユニークな機能の内製化、個性的な磨き上げられたビジネスモデルによって、貪欲に付加価値の取り込みを志向すべきである。第四に、組織体制の原則はオルガナイズ・スモール。飲食サービス業における店舗の括りの目安は、粗利益高200 百万円前後と思われる。最後に、PDCA サイクルを高速かつ自律的に回すこと。自律的サイクルを埋め込むために必要な要素は、「場」の設定と活用、業績管理ツールの整備、そして最後はトップの覚悟、である。

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