中国の最終需要の変動がもたらす影響 ~国際産業連関表を用いた分析~

2019/03/14 中田 一良
調査レポート
海外マクロ経済

○アジアの主な国・地域について、中国向けの輸出が輸出総額に占める割合を2005年と2015年で比較すると2015年のほうが高く、輸出先としての中国の存在感が高まっている。中国向けの輸出の中心は、中間財・サービスとなっている国・地域が多い。

○中国の製造業の中間投入構造をみると、多くの産業で国内財・サービスが中心となっている。中間投入における国内財・サービスの割合を2005年と2015年で比較するといずれの産業でも2015年のほうが高く、中間投入における国内財・サービスの存在感が高まっている。こうした中、コンピュータ・電子製品・光学製品製造業では、中間投入における国内財・サ-ビスの割合は、他の産業と比較すると低く、海外の財・サービスへの依存度が相対的に高い。

○国際産業連関表である、OECDの”Inter-Country Input-Output(ICIO)”に基づいて、世界の主な国・地域の生産額について、最終需要依存度(生産誘発依存度)を求めると、多くの国・地域で自国・地域の最終需要への依存度が高い。こうした中、韓国、台湾では、コンピュータ・電子製品・光学製品製造業を中心に中国の最終需要に依存する割合が高くなっている。

○日本については、中国の最終需要に依存する割合は他のアジアの国・地域と比較すると低く、2015年時点のデータをもとに中国の最終需要が1%変動した場合に日本の生産額に及ぼす影響を試算すると0.04%程度となり、その影響は限定的であると考えられる。産業別では、影響そのものは限定的であるものの、中国の最終需要への依存度が相対的に高いとみられるコンピュータ・電子製品・光学製品製造業などは他の産業よりも影響が大きい。

○中国の最終需要の変動が日本の生産額に及ぼす影響は限定的であるものの、日本の輸出先としてのシェアが高い韓国、台湾をはじめとするアジアの主な国・地域は、中国の最終需要の変動の影響を受けやすい。中国の最終需要の変動が、アジアの主な国・地域の生産額の変動を通じて、日本の生産額に影響を及ぼすことに留意する必要がある。・・・(続きは全文紹介をご覧ください)

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