雇用情勢の悪化による中国のデフレ懸念

2023/08/22 丸山 健太
調査レポート
海外マクロ経済
アジア
中国
変化を捉える【経済】

1. 世界的な高インフレの中、中国では低インフレが鮮明

2021年以降、多くの先進国・地域で、コロナ禍からの需要回復とサプライチェーン混乱による供給停滞を背景に物価が大きく上昇する中、中国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は低水準で推移している(図表1の各実線)。足元の動きをみると、消費者物価は、米国が2023年7月に前年比+3.2%、ユーロ圏は同+5.3%と、7~10%の高い伸びが続いた2022年後半から低下したものの、依然として高水準が続く。一方、中国は同-0.3%と約1年半ぶりに前年比マイナスに陥るなど、2023年に入り低インフレの傾向が一段と強まった。

中国の低インフレにはいくつかの要因がある。まず、需要回復の鈍さが物価を押し下げた。2022年末のゼロコロナ政策撤廃後、景気は持ち直したものの、そのペースは鈍い。景気動向を敏感に反映する購買担当者景気指数(PMI)の動きをみると、特に製造業の回復が遅れており、2023年4~7月には、前月から景気が後退していることを示す結果となった。

また、原油などの国際商品市況の下落や、豚肉など食品の価格低下、販売促進活動の過熱による自動車の値下げなども中国の物価を押し下げている。

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