日銀短観(2023年3月調査)結果

2023/04/03 藤田 隼平
日銀短観
国内マクロ経済

大企業の業況判断は、製造業で悪化、非製造業では小幅改善

本日発表された日銀短観(2023年3月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、製造業では5四半期連続で悪化した一方、非製造業では4四半期連続の改善となった。

大企業製造業は、前回調査(12月調査)から6ポイント悪化の1となった。世界経済の減速により需要が落ち込む中、素材業種では市況の悪化による在庫評価損も影響し、石油・石炭製品や化学を中心に業況感は前回調査から8ポイント悪化した。また加工業種では、半導体不足の影響が緩和しつつある自動車では業況感が改善したものの、需要の落ち込みから生産にブレーキが掛かっている半導体や電子部品等の電気機械を中心に、業況感は前回調査から6ポイントの悪化となった。

大企業非製造業は、コロナ禍での経済活動に関する制約が徐々に解消される中、前回調査から1ポイント改善の20と、コロナ前の2019年12月調査と同じ水準まで回復した。国内需要や訪日外国人の回復等を受けて、小売や対個人サービスを中心に業況感の改善が続いた。

先行きについては、製造業では2ポイント改善の3が見込まれている。素材業種、加工業種ともに楽観的な見方となっており、素材業種ではこれまで業況感が悪化してきた石油・石炭製品や紙・パルプを中心に業況感が反転上昇する期待感があるほか、加工業種では半導体等の部品不足による生産制約の緩和が続くと期待される自動車を中心に業況感の改善が見込まれる。一方、非製造業では5ポイント悪化の15が見込まれている。需要が一段と回復していくとみられる宿泊・飲食サービスや対個人サービスでは業況感の改善が期待されるものの、物価上昇を受けたコストの増加や需要の減少、人手不足による人件費増加や供給制約等が懸念され、非製造業全体としては慎重な見方になっている。
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