景気ウォッチャー調査(東海地区:2016年12月) ~ 現状判断DIは6ヶ月連続で上昇 ~

2017/01/12 塚田 裕昭
景気ウォッチャー調査(東海)

○1月12日に内閣府が公表した「景気ウォッチャー調査」によると、東海地区の12月の現状判断DI(3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断 ※季節調整値)は、前月差1.4ポイント上昇の50.1と6ヶ月連続で上昇し、2015年11月以来の水準となった。原数値では51.3と前月から5.3ポイント上昇し、横ばいを示す50を17ヶ月ぶりに上回った。分野別(原数値)にみると、家計動向関連(小売、飲食、サービス、住宅関連)DIは、同6.5ポイント上昇の50.5と2ヶ月ぶりに上昇し、横ばいを示す50を17ヶ月ぶりに上回った。企業動向関連と雇用関連からなるDIは、同2.9ポイント上昇の52.9と2ヶ月ぶりに上昇し、横ばいを示す50を3ヶ月連続上回った(注1)。

12月の先行き判断DI(2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断 ※季節調整値)は、前月と同水準の51.0となった。原数値では48.8と前月から0.6ポイント上昇した。分野別(原数値)にみると、家計動向関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同1.3ポイント上昇の48.0と2ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を11ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同0.3ポイント低下の50.7と6ヶ月ぶりに低下したが、横ばいを示す50を3ヶ月連続で上回った。

現在の景気の水準自体に対する判断DI(季節調整値)は、12月は前月差0.1ポイント上昇の48.0と小幅ながら3ヶ月連続で上昇した。原数値では49.1と前月から4.5ポイント上昇した。分野別(原数値)にみると、家計動向関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同6.1ポイント上昇の46.8と3ヶ月連続で上昇したが、中立を示す50を33ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同1.8ポイント上昇の54.0と2ヶ月ぶりに上昇し、中立を示す50を3ヶ月連続で上回った。

○内閣府では、全国調査での景気ウォッチャーの見方として「着実に持ち直している。先行きについては、引き続き設備投資や求人増加の継続等への期待がある一方、燃油価格などコストの上昇等への懸念がみられる」とまとめ、現状については先月の判断を据え置いたが、先行きについてはやや慎重な見方を示している。
(11月のまとめ)「着実に持ち直している。先行きについては、海外情勢の不透明感への懸念がある一方、設備投資や求人増加の継続等への期待がみられる」

○東海経済についての東海地区の景気ウォッチャーの見方は「景気に持ち直しの動きが出ている。家計動向関連、企業動向・雇用関連ともに円安・株高の継続がプラス材料となり、マインドの改善につながっている。先行きについては、円安や株高からの好循環が期待されるが、米新大統領の政策など不確実性も高い。また、人手不足や原材料価格上昇が引き続き懸念材料となっている」とまとめられる。
(11月のまとめ)「景気に持ち直しの動きが出ているが、弱さが残る。家計動向関連では天候に恵まれた季節需要の拡大、企業動向・雇用関連では円安・株高の進展がプラス材料だが、節約志向、収益環境の厳しさが持ち直しの動きを弱めている。先行きについては、円安や株高の継続が期待されるが、米新大統領の政策は不透明である。また、人手不足や原材料価格上昇が引き続き懸念材料となっている」

○景気の現状判断DI(季節調整値)は50.1と6ヶ月連続で上昇し、2015年11月以来の水準となった。原数値では51.3と前月から5.3ポイント上昇した。分野別(原数値)にみると、家計動向関連の現状判断は2ヶ月ぶりに上昇し、横ばいを示す50を17ヶ月ぶりに上回った。家計動向関連では、トランプ相場による株高・円安によるマインドの改善に加え、年末商戦、ボーナス支給などの季節要因が判断の改善につながった。企業動向・雇用関連の現状判断も2ヶ月ぶりに上昇し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で上回った。円安・株高の進展がマインドを改善させているが、円安の恩恵を被りにくい非製造業の一部からは厳しい声も聞かれる。

○景気の先行き判断DI(季節調整値)は前月と同水準の51.0となった。原数値では48.8と前月から0.6ポイント上昇した。分野別(原数値)にみると、家計動向関連の先行き判断は2ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を11ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のDIは6ヶ月ぶりに低下したが、横ばいを示す50を3ヶ月連続で上回った。家計動向関連では年度末の需要増や円安・株高の継続に対する期待があるが、先行きに対する不透明感が強く慎重な見方が続いている。企業動向・雇用関連でも、円安の継続を期待する声が強いが、先行きの不透明感がリスクとして認識されている。また、人手不足や原材料価格の上昇などによる先行きの収益圧迫が懸念されている。

(注1)企業動向関連と雇用関連からなるDI(原数値)は、内閣府HPに掲載されている地域別の各分野合計値から家計動向関連の値を除いた上で、「景気ウォッチャー調査」のDI算出方法に従って当社調査部にて試算した。

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