景気ウォッチャー調査(東海地区:2017年3月) ~ 現状判断DIは2ヶ月ぶりに低下 ~

2017/04/10 塚田 裕昭
景気ウォッチャー調査(東海)
国内マクロ経済

○4月10日に内閣府が公表した「景気ウォッチャー調査」によると、東海地区の3月の現状判断DI(3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断 ※季節調整値)は、前月差1.4ポイント低下の48.9と2ヶ月ぶりに低下した。原数値では前月差0.8ポイント上昇の51.7と2ヶ月連続で上昇し、横ばいを示す50を2ヶ月連続で上回った。分野別(原数値)にみると、家計動向関連(小売、飲食、サービス、住宅関連)DIは、同1.8ポイント上昇の50.7と2ヶ月連続で上昇し、横ばいを示す50を3ヶ月ぶりに上回った。企業動向関連と雇用関連からなるDIは、同1.4ポイント低下の53.8と4ヶ月ぶりに低下したが、横ばいを示す50を4ヶ月連続で上回った(注1)。

3月の先行き判断DI(2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断 ※季節調整値)は、前月差4.5ポイント低下の47.8と2ヶ月ぶりに低下した。原数値では前月差4.8ポイント低下の48.0と2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。分野別(原数値)にみると、家計動向関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同4.4ポイント低下の47.2と4ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同5.5ポイント低下の49.7と2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。

現在の景気の水準自体に対する判断DI(季節調整値)は、3月は前月差3.1ポイント低下の46.0と2ヶ月連続で低下した。原数値では前月差0.1ポイント上昇の49.7と2ヶ月連続で上昇し、横ばいを示す50を20ヶ月連続で下回った。分野別(原数値)にみると、家計動向関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同0.4ポイント上昇の47.5と2ヶ月連続で上昇したが、中立を示す50を36ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同0.8ポイント低下の54.1と2ヶ月連続で低下したが、中立を示す50を6ヶ月連続で上回った。

○内閣府では、全国調査での景気ウォッチャーの見方として「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる。先行きについては、引き続き受注等への期待がみられる一方、人手不足やコストの上昇に対する懸念もある」とまとめ、現状については先月の判断を据え置き、先行きについては先月に比べ見方をやや後退させている。
(2月のまとめ)「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる。先行きについては、海外情勢への懸念が和らぐ中、引き続き受注や求人増加等への期待がみられる」

○東海経済についての東海地区の景気ウォッチャーの見方は「景気の持ち直しの動きに一服感がみられる。先行きについては、各種イベントや季節要因による改善への期待がみられる一方、消費者の購買意欲の低迷、世界経済の不確実性、原材料価格上昇による企業収益の悪化など懸念材料もあって慎重な見方につながっている」とまとめられる。
(2月のまとめ)「景気の持ち直しの動きが続いている。先行きについては、世界経済の不確実性など懸念材料は残るものの、足下の高水準の株価動向が安心材料となる中、季節的な盛り上がりもあって改善方向の見方につながっている」

○景気の現状判断DI(季節調整値)は48.9と2ヶ月ぶりに低下した。原数値では前月差0.8ポイント上昇の51.7と2ヶ月連続で上昇し、横ばいを示す50を2ヶ月連続で上回った。分野別(原数値)にみると、家計動向関連の現状判断は2ヶ月連続で上昇し、横ばいを示す50を3ヶ月ぶりに上回った。季節要因も加わって来客数の増加がみられる。もっとも、来客数が増加しても単価の低下もあって盛り上がりは限定的で、売上げの増加にはつながりにくい模様である。企業動向・雇用関連の現状判断は4ヶ月ぶりに低下したが、横ばいを示す50を4ヶ月連続で上回った。設備投資の伸びを指摘する声がある一方、原材料費の上昇が企業収益を下押ししている。

○景気の先行き判断DI(季節調整値)は47.8と2ヶ月ぶりに低下した。原数値では、前月差4.8ポイント低下の48.0と2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。分野別(原数値)にみると、家計動向関連の先行き判断は4ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。企業動向・雇用関連のDIは2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を2ヶ月ぶりに下回った。各種イベントや季節要因による改善への期待がみられる一方、消費者の購買意欲の低迷、世界経済の不確実性、原材料価格上昇による企業収益の悪化など懸念材料もあって慎重な見方につながっている。

(注1)企業動向関連と雇用関連からなるDI(原数値)は、内閣府HPに掲載されている地域別の各分野合計値から家計動向関連の値を除いた上で、「景気ウォッチャー調査」のDI算出方法に従って当社調査部にて試算した。

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