高齢期の家計収支を探る~貯蓄の枯渇を防ぐ①~

2021/05/21 横山 重宏
高齢者

【シリーズ「貯蓄の枯渇を防ぐ」タイトル一覧】

① 高齢期の家計収支を探る・・・<本稿>
② 知識が鍵を握る高齢期の生活設計
③ 高齢期のお金に関する心配と軽減策

  • 公的年金の給付水準低下や2千万円問題、長寿化の進展などを契機に、高齢期の適切な消費を維持するための収入源確保が重要な課題となっている。本稿では、60~79歳の国民を対象に独自に実施したアンケート調査結果を基に、高齢期の世帯の家計収支の状況や赤字世帯での貯蓄高減少リスクを確認した。
  • 月間収支(収入-消費)が赤字になる割合については、年齢、単独・夫婦といった世帯類型、そして貯蓄高とは関連がみられなかった。これに対して、月間収入が低い場合には、月間収支が赤字になる割合が高い。また、今後の生計見通しとして「貯蓄取り崩しで賄える」とする世帯、および、月間消費額の方針として「貯蓄を取り崩し消費している」世帯では、その見通しや方針通り、月間収支が赤字の割合が高くなっている。
  • 月間収支が赤字の世帯において、赤字が続いた場合の貯蓄維持期間(貯蓄高÷赤字額から算出)が1年未満の割合については、年齢との関係はみられず、世帯類型による差も顕著ではない。一方で、貯蓄高が300万円未満の場合には、貯蓄維持期間が1年未満の割合は非常に高い。月間収支が赤字になった場合には、短期間に貯蓄高がなくなる危険性が極めて高い。また、月間収入が10万円未満の場合には、貯蓄維持期間が1年未満の割合が高くなっている。月間収支が赤字になる割合が高く、貯蓄を取り崩して消費することになれば、貯蓄高が短期間でなくなるリスクが高いことが分かる。
  • 一方で、今後の生計見通しが「貯蓄取り崩しで賄える」とする世帯、月間消費額の方針が「貯蓄を取り崩し消費している」世帯では、赤字の場合でも、貯蓄維持期間は長い傾向が見られる。貯蓄高の多寡に応じて、計画的に貯蓄を取り崩して消費に回している世帯である。
  • 高齢期のお金などに関する知識が少ないと、赤字世帯の場合、貯蓄維持期間が1年未満の割合はかなり高い。赤字になる可能性がある世帯が貯蓄を適切に保有し安心した消費生活を送るには、高齢期のお金などに関する基本的な知識を持つことが重要といえる。

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