トランプ氏の「スケジュールF」はアメリカ政府をどう変え得るのか?-日米の公務員制度比較を踏まえた分析-~ワシントンDCからみた政策論議~

2024/04/01 小林 庸平
行政
EBPM
政策評価
雇用
労働

【要旨】

本レポートの目的

  • 2024年のアメリカ大統領選挙は、民主党のバイデン現大統領と共和党のトランプ前大統領が両党の大統領候補になることがほぼ確実である。アメリカの動向は日本を含む世界情勢に大きな影響を与えるが、あらゆる行政運営に大きな影響を与えるのが公務員制度である。
  • 本稿では、日米の公務員制度の基本的な仕組みを整理し比較分析した上で、トランプ氏が再選した場合に導入を目指す「スケジュールF」を解説する。スケジュールFの導入は政治任用者を大幅に増やすことになるが、予想される影響を分析した上で、日米の公務員制度に対する示唆をまとめる。

公務員制度の日米比較

  • 日本の公務員はジェネラリスト中心である一方で、アメリカはスペシャリスト中心である。日本の公務員は平均して2~3年程度で異動するが、アメリカでは10年以上留まることも多い。
  • アメリカの公務員制度の特徴は政治任用者の多さである。アメリカは連邦政府全体で4,000人程度の政治任用者がいるが、日本は80人程度で、2014年の公務員制度改革以降に一元管理されるようになった幹部職員を含めたとしても700人程度である。

トランプ氏が再選した場合に導入を目指すスケジュールFと予想される影響

  • トランプ氏が再選した場合に導入を目指す「スケジュールF」は、政治任用者を現在の10倍以上の最大5万人程度まで増加させる。政治任用者の増加は統治機構に対する民主的統制を強化することにつながるが、同時に政府のパフォーマンスが低下する可能性も指摘される。
  • 民主的統制と質の高い行政サービスを両立するような仕組みを冷静に設計することが求められる。

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