ピーターの法則

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ピーターの法則とは、能力主義の階級社会において、誰しもが有能さを発揮できていた地位から、無能ぶりを露呈することになる限界の地位まで昇進させられることにより、組織全体に無能な人間があふれてしまう法則のことを指す。

より具体的には、現在の職位で有能であることが証明された場合、その人は昇進することができる。階級社会では、そのように昇進を繰り返していくなかで、自分の能力の手に負えない職位に到達するまで昇進するのである。
よって、あらゆるポストは職責を果たせていない無能な人間によって占められている、と言い換えることができる。

このピーターの法則が組織にもたらす影響としては、以下の2点がある。
1点目は、人事評価制度の機能不全である。昇進に適した人材を正しく選ぶことのできない組織において、人事評価の役割は機能しなくなる。また、無能な上司は自主的に判断を下すことができないため、無能な部下を昇進させ、その不幸な昇進の結果、部下も無能レベルに到達することになる。
2点目は、優秀な人材の流出である。無能化を防ぐため、昇進しないように仕事を抑えることで、当人は昇進・昇給もできなくなり、最終的に人材の流出につながってしまう。
最後に、ピーターの法則を防ぐ方法を3点紹介する。
1点目は、職務内容を変えずに昇給ができる仕組みを構築すること。2点目は、昇進前に昇進後の地位で求められる仕事内容に関して訓練を実施すること。3点目は、昇進後に無能になった場合、降格させる仕組みを作ることである。
日本企業は年功序列型で、採用時に職務内容が明確に規定されていないことが多いため、ピーターの法則に当てはまる可能性が高い。上記のような仕組みの強化がピーターの法則を無効化し、適切な組織運営につながることとなり得るだろう。

(張 智視)