ものづくり文化が生きる愛知の食のグローバル戦略

2008/07/01 林田 充弘
グローバル
国内マクロ経済

わが国の戦後最長の景気回復のけん引役となっている愛知県。その元気の源は、トヨタをはじめとした輸送機器業界、およびそれに付随した形で海外へ進出している機械機器業界の積極的なグローバル展開によるものだとされている。
確かにその要素が大であることは間違いない。だが、「ものづくり愛知」の真骨頂は自動車ばかりではない。日本有数の農業地帯である三河地方などで穫れる豊かな一次産品や、その良質な素材を生かした加工品とそれを支える加工技術は、知名度という点では今一つだが、全国トップを誇るものが多数存在する。逆にいえば、そうした“知るヒトぞ知る“名産品やノウハウを数多く抱えていることが、愛知の強さの礎となっているのである。
本稿は、このような愛知の「食に関わるものづくり」が持つ、多面的な特性の背後にあるものを整理し、これからの新たなグローバル展開の要諦を切り出すことを目的としている。
まずはじめに、マクロ的な視点で愛知に所在する企業を取り巻く地域・社会としての環境や文化について俯瞰した。
次に、そうした環境で生まれ育ち、業界の先陣を切ってグローバル化を果たした3社について、取材を通じて得られた各社のミクロの成功要因を、【生産・加工】【市場・販売】【ヒト・風土】【取引・規制】の4つの切り口でまとめた。
そして最後に、マクロ・ミクロの両面を通じて得られた、愛知の食のグローバル化がさらなる進化・発展を遂げるための要件を、『融合力』『変革力』『品質力』『地元力』の“4つの力”としてまとめ、結論とした。

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