2014年12月の衆議院選挙は3年目を迎えたアベノミクスに国民の信任を与え る結果となった。しかし、円安・株高・低金利、さらに物価の上昇とアベノミクス の思惑通り進んだにもかかわらず、景気後退が始まってしまった。この不都合な事 実を前にして、世の中のムードはあまり良くない。信任を与えたというよりは、ア ベノミクスで本当にうまくいくのかという不安感がでてきているようだ。
それでも、2015年の景気は何とか持ち直してくるだろう。世界経済の緩やかな 成長が続き輸出や生産が持ち直してくる。円安による物価の上昇が実質所得を目減 りさせるが、原油価格の下落が消費者物価の上昇を抑え実質所得を下支えする。個 人消費は底堅いだろう。これまで抑えていた設備投資の増加が加わってくれば、回 復のシナリオが見えてくる。
同時にデフレ脱却後の課題も明らかになってきた。世界経済の成長力低下を背景に需要の伸び悩みがこれか らも続く一方で、これまで設備や人に対する投資を抑制していたこともあり潜在成長力が低下している。需要 不足に加えて、供給制約の問題が生まれてきたわけだ。まさしくアベノミクス第3の矢である成長戦略の出番 というところだが、潜在成長率ゼロの壁を打ち破るのはアベノミクスではない。成長分野を開拓して前に進も うという民間部門の活力だ。
2015年は、日本経済を救うにはアベノミクスしかないという固定観念を抜け出して、民間部門が前向きな 発想に変わってこないといけない。人々がデフレ的な行動様式から脱してくることで、本当の意味でのデフレ 脱却が可能になってくる。
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