「想定外」を想定すると見えてくる2017年の世界と日本

2017/02/17 鈴木 明彦
国際政治
国内マクロ経済

英国のEU離脱問題やトランプ米大統領の誕生等2016年は想定外の出来事が続いたと言われている、しかし、そうした出来事が続くのであれば、本当は想定していなければいけなかったのではないか。もう過去のことと思われているが、リーマンショックはさまざまな意味で世界経済の潮流に変化をもたらしている。この潮流の変化を正しく理解することによって「想定外」を想定できるようになる。

リーマンショックを境に世界的な潮流の変化が生まれ、世界経済の成長力は減速している。世界経済の減速は、輸出の拡大を成長エンジンにしてきた日本経済にとって逆風だ。加えて、新興国が発展する中で日本の競争力が相対的に低下していることも問題だ。

もっとも、そうした環境変化を踏まえて2017年を展望すると、世界経済が底堅く推移する中にあって、日本経済は緩やかながら持ち直しが期待できる。しかし、リーマンショック後の長期的な停滞状況から抜け出すのはまだ難しそうだ。少子高齢化が続き、人口も減少に転じている日本経済において定常状態が続くことは避けられない面もある。

日本の成長力を高めていくためにできることは何か。まず、スリム化戦略を脱して、競争力を高める攻めの姿勢に転じることが重要だ。また、保護主義の広がりに対しては、まさかと思われることも想定して、毅然とした対応をしていかなければならない。同時に、高齢化社会を見据えて、財政・金融政策を正常化する必要があるのだが、これが最も難しい課題のようだ。

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  • 鈴木 明彦

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