コンテンツ産業の現状と課題

2007/01/22 白藤 薫
コンテンツ

次世代産業の育成が求められるなか、コンテンツ産業が今後有望な産業として注目されている。我が国のコンテンツ市場規模は2004年で11兆600億円(総務省情報通信政策研究所調査*)と大きいが、ゲームソフトや音楽CDなどパッケージコンテンツの売上が低迷するなど市場規模は近年横ばいに推移している。この市場規模はGDP比でみると2.3%にすぎず、米国の1/2の水準にとどまっている。こうした状況を打開するため、現在急速にその市場が拡大しているネットコンテンツに期待が集まっている。
インターネットや携帯電話といった通信ネットワークの普及、そのブロードバンド化、端末の高度化等により、通信ネットワークの流通チャンネルとしての規模が大きくなっている。2004年で7千億円と、コンテンツ市場全体に占める割合は高くはないものの、その伸びは大きく、先の調査では、通信ネットワークで流通したコンテンツの割合は、2000年の3%から2004年には6%と倍増したとしている。こうして通信ネットワークでの流通が伸びた結果、既存のパッケージ市場の落ち込みをカバーしている状況がある。コンテンツ産業の現状と課題

現在のところ、ネットで流通しているコンテンツは既存コンテンツの二次利用が中心であるが、市場拡大にはネットオリジナルのコンテンツを提供していくことが求められる。ネットオリジナルといってもネット向けに制作したイメージビデオやドラマといったものではない。インターネットは双方向性といった従来のメディアにはない特徴を有しており、テレビ番組、書籍といった従来の枠にはおさまらないかたちのコンテンツが考えられる。例えばオンラインゲームは、もはやゲームの範疇にはくくられないコミュニティ形成のプラットフォームになっており、ユーザーも従来のテレビゲームユーザーとは異なっている。このような新しい付加価値をユーザーに提供するコンテンツを創り出すことに取り組んでいくことが重要である。

*総務省情報通信政策研究所「メディア・ソフトの制作及び流通の実態調査(2006年7月)」より。当社が委託を受け、調査協力を行った。

執筆者

facebook x In

テーマ・タグから見つける

テーマを選択いただくと、該当するタグが表示され、レポート・コラムを絞り込むことができます。