新しい「日本の将来推計人口」公表

2017/04/01 山下 八重子
人口推計
人口減少

2017年4月10日、国立社会保障・人口問題研究所が、2015年国勢調査の人口に基づく新たな将来推計人口を公表した。
この推計では、2015年に1億2,709万人であったわが国の総人口が、約40年後の2053年には1億人を下回り、50年後の2065年には、2015年の約7割(8,808万人)にまで減少することが予測されている。

しかし、前回推計(2012年1月)の結果と比較すると、2065年の人口は672万人増加し、人口が1億人を下回る年次も5年遅くなっているため1、人口減少スピードは、やや緩和される見込みとなっている。

とはいえ、今回公表されたのはあくまでも総人口であり、各地域における人口減少スピードが等しく緩和されるとは考えにくい。

実際、直近2年間の転入超過の状況をみると、転出超過がごくわずかに改善された地域が複数あるとはいえ、東京圏への転入超過が突出していることに変わりはない。この傾向が大きく改善しなければ、東京圏以外の地域における人口減少スピードが緩むことはないであろう。

直近の地域別転入超過の状況(2015年・2016年)

(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」

地方から人々が転出する主なタイミングは、大学進学と就職である。つまり、地方の将来は、学びの選択肢と仕事の選択肢がいかに豊富に提示されるかにかかっている。そのためには、「わざわざ東京圏に行かなくても」希望する教育が受けられる環境の整備や、「地元で就職しよう」と思える魅力的な仕事の創出が急務である。


1 前回推計における2065年の人口は8,135万人(長期参考推計)、1億人を下回る年次は2048年であった。

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