日本経済の中期見通し(2016~2030年度) ~人口減少による需要不足と供給制約に直面する日本経済~
○2030年度までの日本経済は、人口減少を背景に需要不足と供給制約に直面するリスクがあるうえ、構造調整圧力への取り組みが始まることが景気の押し下げ要因となり、拡大ペースは弱まっていく。ただし、企業の構造問題への取り組みが進むことで生産性が徐々に向上していくと期待され、成長率はプラス基調を維持できるであろう。
○2016年度~2020年度
2019年10月に消費税率が10%に引き上げられることで一時的に景気が悪化するものの、2020年7月の東京オリンピック開催を控えた需要の盛り上がりやインバウンド需要による押し上げなどにより、均してみると緩やかなペースで景気は拡大する見込みである。実質GDP成長率の平均値は+1.0%と、潜在成長率をやや上回ろう。
○2021年度~2025年度
人手不足の深刻化で、需要減少と供給制約に直面することとなり、企業は営業活動を維持するために、生産性向上のための投資の積み増し、事業の選択と集中や業務のスリム化、業界内での集約化や統合といった様々な取り組みを迫られる。また、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)入りすることにより、社会保障制度の存続が危ぶまれる状態となる。このため、政府は先送りしてきた財政再建、社会保障制度改革に着手せざるを得ない状況に追い込まれ、2024年度に消費税率が12%に引き上げられる。この間、実質GDP成長率は平均値で+0.7%と潜在成長率並みの伸びを維持できるが、2010年代後半の伸びから鈍化することは避けられない。
○2026年度~2030年度
人手不足が続く中、企業の生産性向上のための施策がある程度軌道に乗ってくることが景気にプラスに寄与する。しかし、政府は引き続き構造調整圧力への対応を迫られ、それにともなって成長率は鈍化する見込みである。高齢化の進展や人口減少ペースが高まってくることに加え、消費税率が2回にわたって18%まで引き上げられるため、実質GDP成長率は平均値で+0.5%と、潜在成長率をやや下回る伸びにとどまろう。
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