日本経済の中期見通し(2017~2030年度) ~生産性向上に向けた取り組みの成否が成長率拡大の鍵を握る~

2018/03/26 調査部
日本経済中期見通し
国内マクロ経済

○2018~2020年度の日本経済は、均してみると景気の回復が続く見込みである。東京オリンピック・パラリンピックの開催までの期間は、インフラ建設などの需要の盛り上がりが本格化するほか、首都圏での再開発案件の増加などが景気の押し上げ要因となる。加えて、業務の効率化、情報化、人手不足への対応のための投資や、AIやIoTの活用を促進させるための研究開発投資についても増加が見込まれる。2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響も軽微にとどまろう。

○2020年代は、人口減少が進む下で、需要の減少とともに、人手不足が深刻化することで、供給制約の問題に直面し、景気の重石となることが予想される。特に、2025年以降は労働投入量の減少ペースが加速していく見込みである。こうした事態に対応するため、企業は、省力化投資・研究開発投資の増加、AI、IoTの利用推進、業務合理化、企業間の連携の強化、業界内での集約化や統合など、生産性を高めるための様々な取り組みを迫られることになろう。また、社会保障制度の維持のために、消費税率は2030年度にかけて18%まで引き上げられ、景気の拡大を抑制しよう。

○2020年代前半の実質GDP成長率は、平均値で+0.8%と潜在成長率(+0.8%)並みの伸びは維持できる。2021年度中には、東京オリンピック・パラリンピック後の低迷から抜け出し、景気は持ち直していくが、人口減少、高齢化進展の影響が強まってくる中で勢いは鈍い。企業部門において、業務の合理化や不採算部門の切り離しといったリストラを進めていく中では、なかなか前向きな投資には動きづらい。省人化投資や効率化のための投資は積み増されるものの、生産性が向上するまでには時間が必要である。

○2020年代後半の実質GDP成長率は同+0.7%と、前半と比べてやや伸び率が弱まると予想される。しかし、労働投入量の減少幅が拡大し、2回の消費税率の引き上げによって景気が落ち込むといったマイナス効果がある割には、落ち込み幅は小幅にとどまる。これは、供給制約の問題への危機感をばねとした企業の様々な取り組みにおいて次第に成果が表れ始め、生産性が徐々に向上し、人手不足による供給制約を回避することが可能となってくると期待されるためである。潜在成長率(+0.7%)との比較においても、同程度の成長を確保できるであろう。

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